彼女が住み始めて半年。
窓際に駆け寄る。
寄り添った煉瓦屋根、合間を縫って飛び交うカモメ、そして驚く程大きな空。
一日の始まりに、お昼の合間に、夕方帰宅して、寝る前に、何度も目にするだろう景色。
雨上がりの虹の写真も、水の入ったグラスに真っ青な空が取り込まれた写真も、雪で一面が真っ白になった写真も、皆、ここから写したものに違いない。
洗いたてのシーツとタオルを用意してくれ、夕食にキッチンに立つ姿に、家を出て早2年半の月日を思う。
彼女の寝室の壁にはお気に入りの写真がずらりと貼られていて、そこに一昨年、母と三人で一緒に行った海の写真を見つける。母が遠くを指差している姿。
別の壁には、古びた短冊が一つ。
「夢に向かって」
彼女自身の手によるもの。いつ書いたのだろう。
眩し過ぎて、目を開け続けることが、もう叶わない。
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