どうも心が重かった。
週末、二回に一度の割合で、バッタ達がパパのところに行くことは、
これはもう決まりだから、あれこれ言わないことにしているし、
考えもしないことにしている。
でも勝手にパパがパリに行ったのだから、
そのために、バッタ達が友達からの誕生会の誘いや、サッカーの試合、バイオリンのコンサートに参加できないのって、
ちょっと違うと思う。
誕生会が続いてしまって、二度ほどパパのところに行けなかった息子バッタ。
次のパパとの週末に、なんと、日曜の朝がサッカーの試合となってしまう。
昔むかし、スーパーで落ちているじゃが芋を蹴っている息子バッタを見て、
ああ、この子は、こんなにもサッカーが好きなのかと驚いたが、
(実は、それから、男の子って、皆多かれ少なかれ、そんなもんだと分かったのだけど)
今でもサッカーは何よりも大好き。
たまたま、バッタの父親からオフィスに電話が入ってきて、
あれこれと話しをし(大抵がバッタ達の勉強の姿勢やテスト結果、或いはバカンスの日程の相談)、次の週末は誰も何もないんだよね、と彼が聞いた目の前で、
息子バッタのサッカーの監督から、特別に日曜朝の試合になったと連絡メールが入る。
あら、日曜朝に試合だって。
そう言った途端、
「誕生日、パーティー、日本語のテスト、宿題、そして、サッカー、コンサート。うんざりだよ。」
朝早くパリに迎えに行くと申し出ても、土曜の夜、寝るだけに来る様なものになるから、しなくていいと言う。そして、息子バッタは来なくてよい、と。
険悪な空気が重く圧し掛かってきたので、
取り敢えずは息子バッタにサッカーの試合に行かないように言ってみると申し出る。
そうして、
電話を切るが、どうも心が重い。
子供が週末に友達からの誘いや、試合やコンサートで充実した時間を過ごすって、
大切なことじゃないのか。
子供の幸せを親の都合で取り上げているんじゃないのか。
なんで、そんな基本的なことが父親の彼には分からないのか。
自分が少年だった時のことを、ちょっとでも思い出して欲しい。
でも、
それ以上に、彼は子供達と一緒にいたいのか。
なんだか、悲しい現実。
この話しをどう切り出そうかと思い悩んで家に帰る。
ところが、
ところが、である。
息子バッタは、一言、「じゃ、僕、サッカーの試合、行かないよ。」
えっ?
あんまり、さっぱりと言うので、こちらが驚いてしまう。
「だって、これでパパのところに行かなかったら3回連続だよ。いいよ。今週末はパパの家なんだから。」
じゃあ、ママが朝早く迎えに行って、その後で、またパリに送ってあげるよ。
「ママ、いいよ。そんなこと言ったら、きっと、すっごく機嫌が悪くなって、じゃあ、来るな、って言われるだけだよ。そんな風に言われるんだったら、最初っから言わない方がいいもの。」
これには、本当に驚いてしまう。
そうか。
変に拘っていたのは私なのか。
声変わして、背が高くなっただけではなく、
しっかりとバランス感覚を備え、交渉力さえもついてきていることに、
頼もしさを感ぜずにはいられない。
今度、サフォンの『風の影』の仏訳版を買ってあげよう。
そうして、忘れられた本の墓場の話を彼としよう。
にほんブログ村
↑ クリックして応援していただけると嬉しいです
皆さんからのコメント楽しみにしています
あ、あの、私、息子がいるんですけど、じゃいもをサッカーボールに見立てて蹴ったりしません。っていうか、クッカバラさん、それ、まずいんちゃう???お店の人におこられるんちゃう???感心してないで、食べ物を蹴っちゃいけない、って教える、って発想、これ忘れてました???すみません、論点からまったくずれていて・・・・。
返信削除あかうなさん。
返信削除親馬鹿コメントでしたか。失礼しました。
でも、まだ6歳ぐらいの子が、真剣に転がっていた一個のジャガイモ相手に奮闘している姿、感動しました。自分にはないものを我が子に発見した時の驚きと興奮。あかうなさんにも分かっていただけると思います。長女バッタが、バレエの練習を夜必死でしている姿に心打たれたり。誰も教えていないのに、クッションを作ってしまった末娘バッタなど。団子虫を集めて、微笑ましい、といった類のものではない、驚き。
子育てはその感動の連続、でしょうか。
返信削除くっかばらさんのこころに触れた思いです。いい子達が育つわけですね^_^
あかうなさん。
返信削除いつも深刻になりそうなところ、ちょっと違った視点からのコメントをしていただいて感謝しています。
どうぞこれからも宜しくお願いします。