コンコンコン。
誰だろう、今頃。
日曜の午後4時。
バッタ達が帰ってくるには早過ぎる。
門のインターフォンが雪のためか作動しなくなり、
来客あっても分からない状況。
そんな事情を知っている人か、
よっぽど親しい人のみが、
庭を横切って、玄関の戸を叩く。
コンコンコン。
10日ほど我が家でお預かりしている友達がいることから、
パパのところに行かなかった末娘バッタが応対している。
キッチンのドアが開いて、
黒いダウンを着た息子バッタが姿を見せる。
また、背が高くなったように思われる。
冴えない顔色。
「ママ、電車って、意外と高いんだね。」
ん?
「パリからメトロに乗って、RERで帰ってきたけれど、4ユーロちょっとしたよ。この間、ハンドボールの試合の時に、ママからお金をもらっておいて良かったよ。」
え?一人で帰ってきたの?
どうやら、パパと喧嘩をして、飛び出してきたらしい。
そりゃあ、この間、パパと喧嘩をしてつまらない時間だったと愚痴るので、それだったら、電車でさっさと帰ってくれば良かったのに、とは言ったけど、まさか、実行するとは。
数学の宿題で喧嘩し、パパが怒って、それなら出て行けと、彼の勉強道具をアパートの廊下に放り出したという。
そんな話を聞くと、血相変えて怒りがこみ上げる。
いや、まて、これは彼の言い分。
とにかく、自分の鞄をひっつかんで、
一人、帰ってきたという。
逞しい、と褒めるべきか。
しかし、その割には顔色悪く、表情は冴えない。
もう来るな、というから、もう、あんなところには、行かない、と宣言する。
それを聞いて、末娘バッタも、あたしも行かない、と叫ぶ。
いや、待った。お前さんは黙っていな。
さて、ね。
おやつにしよう、と、
末娘バッタと、その友達に声を掛けて、
一緒にあれもこれもと喜んで食べ始める。
ママ、たくさん買い物したんだ、と嬉しそう。
お昼は帆立貝だったという。だからお腹が空いていると訴える。
彼が唯一苦手とする食べ物。
我が家では、私が代わりに食べてしまう。これほど美味しいものを食べないなんて、と言いながら。
でも、まさか、帆立貝だけではないだろうし。
パパの決め付ける言い方が嫌なのだろうか。
パパから間違いを指摘されることが嫌なのだろうか。
「敗北を認めることを知らねばならない。」
ピボットプレイヤーのセドリック ソルハインドがいみじくも言っているではないか。
でもね。
本当は、ママ、嬉しかったよ。
とりあえずは、
良しとするか。
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