遠くで音がする。
漸く眠っていたことを思い出し、手を伸ばしてアラームを切る。
ここ数日、ゆっくりとした時間がとれていない。
特に、水曜の夜から殺人的スケジュール。
そもそも、土曜の朝に重要な説明会、そして、日曜にバイオリンの地区大会と、二つの大きなイベントが重なってしまったことが原因。
それでも、日曜は別件を断っている。
ただ、そこに、これでもか、と新たな難問が次々に降りかかってきてしまう。
いや、その他にも、かなり微妙な件を一つ片付けていたか。
あれは本当に困ったことで、七人のサムライの一人が、サムライ生命を賭して、この案件が通るなら、辞す、とやったものだから、大変。
このサムライをワガママと斬ることは簡単であったが、そんな仲間割れをしてしまったのであれば、200人近くの人々をどうやって率いることができようか。
当初は、このサムライを説得する作戦に出たが、どうやっても無理。頑固。
なら、去ね。
そう思いもしたが、そこまでサムライ魂に照らして譲れないものであることを、もう一度考えてみる。
このサムライの意見も、確かに一理ある。
さて、どうするか。
腹を決める。
サムライの長に、孫子の兵法を説くのであれば、孔子の論語を見よ、とメールする。
我々は間違っているのかもしれない。
一人のサムライの声に耳を傾けようじゃないか。
太陽の照り輝く王道を歩くべきであり、詭弁をもって良しとしては、サムライの名に恥ずべき行為。
すぐに返事が来る。
数度のやりとりで、長を説得できたことが分かる。
そうよ。
今、仲間割れをしている場合ではない。絶対譲れない内容ではなく、こちらにも弱点がなくはない。ここは、潔癖な一人のサムライの意見を聞こうじゃないか。
早速、かのサムライにメール、そして、翌朝、電話。
電話の向こうで、むせび泣く様子が伝わる。
別のサムライ仲間にも事前に連絡を入れておき、説得。
一件落着。
そうして、一致団結した7人のサムライたちによる土曜の説明会は無事に終わる。
しかし、この喉の痛みは酷すぎる。
頭の痛さも尋常ではない。
長女バッタが試験があるから6時に起こして欲しいと言っていたか。
慌てて起こしに行き、そのままベッドで寝ていると、
いつの間にか周りがきつい。
息子バッタと末娘バッタが入り込んで寝ている。
「ママ、会社は?お休みするの?」
喉も痛いし、頭も痛い。今日はちょっと起きられないよ。
声を絞り出して答える。
しばらくして、
「僕も学校を休もう。腰が痛いんだ。」
ぎょっとする。
おお、そうか。
子は親の背を見て育つ。
おっしゃ!
むっくりと起き上がる。
寝てはいられまいよ。
痛み止めを飲み込んで、外に出る。
息子バッタも鞄を背負って、先に走って出て行く。
聳え立つ杉の木に絡まって咲き誇るクリスマスツリーのような藤の花が
甘い香りで見送ってくれる。
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