2014年8月14日木曜日

異国情緒


パリでの8月一杯無料の路上駐車場を探し、界隈を車で探索。結果、オフィスにそう遠くない場所に、一方通行ながら両脇が駐車スペースとなっている場所を発見。とにかくも、試しにそこに停めておく。

近いと言っても、ナヴィでたどり着いたこともあり、通りの名を確かめ確かめ、オフィスに向かう。

早朝だからか閑散とした大通りを渡るとき、ふと見上げると、大通りの先に美しい建造物。北駅か。見とれつつ、ちょっと心配になる。北駅周辺はそんなに治安が良いとは聞いていない。それでも、そこ以外にどこに駐車スペースがあろうか。

あまりに早い時間であると車の往来こそスムーズだが、普通の社会人ならまだベッドのぬくもりを名残惜しんでいるか、朝食を楽しんでいるころ。バカンス中ともあれば、なおさら車を動かす時間も、通常よりはもっと遅くなろう。だから住宅街は適していない。そうなると、繁華街となってしまう。夜はにぎわっても、明け方には新しい一日が始まり、昨夜の名残はすっかり消えてしまっている場所。


果たせるかな、夕方、通りはベビーカーを伴った若い母親たち、若者たち、カップルであふれかえっている。そして、朝は気が付かなかったが、通り両側ともにここ狭しとヘアドレッサーが軒を連ねている。

ガラス張りのこじんまりとしたサロンはとにかく混み合っており、女性だけでなく、男性客もいる。どこも子ども達であふれている。皆子連れなのか。だからの混雑なのだろう。そして、店の扉の脇には大抵数人の若者がたむろしている。美しくなって出てくる恋人を待っているのか、出てくる女性たちを値踏みするのか。

通りを大きく支配して日暮れのビールを楽しむ連中でカフェはにぎわっており、行き交う人々と声を交わす姿も少なくなく、立ち止まって話に興じる者、車のボンネットに寝転がって歌う者、通りの両側から声が掛かり会話をする若者たち。

この通りの夕方の顔。ここで交わされる会話はコロコロと鈴の音のような響きを持ち、夏だからなのか、人々は皆サンダル、トングをつっかけている。褐色の肌と漆黒の髪。


朝こそ駐車している車が少なかった通りも、今ではすっかり車で埋め尽くされている。そこに大人しく待ってていてくれたシルヴァーペンギンを見つけ、ほっとする。

ちょこちょこと前後左右に車を動かせ、通りに出したところで、バックミラーにて真後ろに停まっていた車も通りに出ていくところであり、私の動きを待っていてくれたことに気が付く。優先順位は我にあり、がパリの運転事情と思っていただけに、軽い衝撃を受ける。ひょっとして、仲間として受け入れてもらえたのかしら。急に喧騒が温かな調べを持って優しく押し寄せてくるように感じる。


明日もここに停めようか。笑みをもってゆったりとアクセルを踏む。




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