終電には未だ早いと思われる時間。大勢の人々がそれぞれのストーリーを背負って地下の駅から駆け上がってくる。運行している路線バスはなく、唯一の頼りのタクシーも見当たらない。駅前にびっちりと停車していた車の列は、申し合わせたかのように次々に人を乗せ、一瞬のうちに消え去ってしまっている。
静寂に取り残される。
夕食をとるタイミングを逸してしまっており、空腹を痛い程感じる。さて、歩くしかないか。申し訳ないぐらい、ブーツのヒールの音が響き渡る。
冷たい空気が頬に迫るが、そのうちに身体中のエネルギーが体内を駆け巡り、心は爽快感で満たされ始める。何だか、高尚なことをしているような気持にさえなってくる。
この瞬間を独り占めした優越感に酔いしれ、我が家の門をくぐる。
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