藤田のチャペルを見たいと言われ、
日曜にランスまで車を飛ばす。
シャンパーニュ地方には何度か訪れているが、ランス市街には初めて乗り入れたことを、実際に車で走ってみて確認する。ランスは予想以上に大きな都市で、周辺の村とは趣を随分異にしている。
取り敢えず、赴くままに車を走らせると目の前に大聖堂が立ちはだかる。
驚くことに、大聖堂の裏手には何もない。
青い空に映えるだろうけど、雪でも降りそうな空が広がっている。
大聖堂に一歩足を踏み入れると、天の声が聞こえてきそうな神々しさ。
友人夫婦がロウソクを買って火を点けている。彼女は確か、敬虔なクリスチャン。
天上のアーチの美しさに見とれていると、ロウソクを手渡される。
お賽銭を友人から手渡されたような恥ずかしさを覚えるが、それも一瞬の事。当たり前のように手渡されたロウソクに、既にゆらめいている沢山のロウソクの中から一つを選び、もらい火をしながら、彼女の優しい思いに包まれてしまう。
「幸せになってね」
そんな彼女の声なき声が聞こえてくる。
青が基調のステンドグラスの前で思わず佇む。
こんなところで、シャガールに会えるなんて。
社会人として初めての職場で知り合った先輩。
当時女性の活躍が注目されていた中で、目立ちながらも、マイペースで飾らない様子が非常に爽やかで、とっても憧れていた存在。
昨年、もう何年振りかでパリで再会。
そして、今年はその時の約束通り、夫婦でパリに遊びに来ていた。
翌日、フランスを発つ前にメールが届く。
「レストランも藤田のチャペルもランス大聖堂も感激したけど、〇〇ちゃんがまた元気になっててなにより嬉しかった」
去年はそんなに元気がなかったのか。
会社の帰りに慌ててレストランに駆けつけた雨の夜を思い出す。
今年は何が変わったのだろう?
仕事、人間関係、家庭環境。
色々と思いを巡らす。
そうか、私が変わったのか。
心にロウソクの火が赤く点る。
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