こうして、また春が来てしまった。
クロッカスがぱっと鮮やかに咲き出し、水仙が黄緑色の細長い蕾を膨らませ始める。
暗いうちから鳥たちは囀り、すっかり枯れてしまったと思っていた木々の先から新芽が色付いている。
結論を出せずに、追い掛けられるかのように日々は過ぎていく。
シナリオ通りに人生はいかないし、シナリオ通りの人生なんてつまらない。
幸せとは自分の手でつかみ取り、自分の心で感じるもの。
そう信じているし、バッタ達にはそうやって教えてきた。
高校一年の時の留学先オーストラリアで、ホストファミリーの父、ジョンから、「Be happy!」と何度も言われ続けた。生意気にも、人生とはそんな単純な筈がない。辛いことがあって、それを克服してこそ幸せが待っている、なんて反抗したものだ。本当にあの時は分からなかった。努力、辛抱、といった概念が全くない世界なんてありえないと思った。
そう、確かに、そんな世界はありえない。捉え方の問題。そして、「Happy」であることは人間として最も大切な、いわば基本的人権。
今でもジョンは言ってくれる。何かあったらオーストラリアにおいでよ。好きなだけいればいい。仕事だって、きっと見つかるよ。子供たちに日本語を教えればいい。確か数学が得意だったよね。数学も教えられるじゃないか。なんでもできるよ。とにかくおいでよ。
そうジョンが言ってくれるから、他の地でも頑張っていける。
焦らずにゆっくりと答えを出そう。
クロッカスたちは、おしゃべりに夢中でちっとも相談に乗ってくれそうににない。
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