2013年3月3日日曜日

春来にけり




雪が白く降り積もった日、
庭を見やると鮮やかな色が目に飛び込む。
小鳥達が啄むだろうと誰かが思って投げたのだろうか。
皮を剥いた半分の蜜柑。

バッタ達に聞いても、
名乗りを挙げるものはいない。

忘れた頃に目をやると、
丁度、石の上に転がっており、
まだ色は鮮やかで、鳥の喉を潤した形跡はない。

土の上ではないと、バクテリアによる分解が始まりにくいのではないか。
そんな思いを読んだように、タイミング良く長女バッタが口を出す。

「ママ、あの蜜柑、そのままにしておいてね。
今、観察中なんだから。」

近くで見ても、ちっとも乾燥した様子が無く、
ふっくらと柔らかな実は、
口に入れると甘酸っぱい汁が飛び出してきそう。

そして、今日。
外の空気は冷たく、
骨の髄まで凍り付いてしまいそうな日。

それでも、空に遮るものは無く、太陽のみが輝いている。

庭に駆け出すと、
蜜柑の形跡がなくなっている。

そして、
そこには、真っ白な花。

見上げると、
庭は一面に花の絨毯。

春来にけり。。。




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