異国の地に足を踏み入れ、気が付くと早二十年以上の年月が流れている。
その間、何十回となく聞かされた問い、「日本には帰らないの?」
異国の地で結婚をした時、
幼いバッタ達を抱えて一人になった時、
新たな就職先を求めていた時、
或いは、単なる会話の流れの中で。
常に周りから発せられてきた問い。
常に周りから発せられてきた問い。
その度に、久々に降り立つ時の、清潔でまばゆいほどの空港や地下鉄を思い出す一方で、
あの朝の満員電車、夏の熱帯夜の記憶が重く圧し掛かってきたものである。
バッタ達が幼い時には、ワーキングウーマンには決して楽ではない環境を思い、
バッタ達の教育環境を懸念し、更には、我が身の就職先のことを思った。
バッタ達がティーンとなった今でも、懸念材料の内容こそ違え、数が減ることはない。
そうして、いつも同じような紋切り型の返事をしながら、
実のところ、その質問自体がナンセンスなことにすっかり気が付いている。
ひっそりと庭の隅で、色付き始めた紫陽花を見出した時のように。
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