今年、元旦に揃ったバッタ達に、新年を迎えての初心と抱負を語ってもらった。そんな時、すぐに率先的に発言をするノリの良い末娘バッタが口火を切った。それから、長女バッタが相変わらず、頓智に富んだコメントをして、皆を笑いに包み、雰囲気はお正月らしく初々しく、福福しかった。
ママは?
バッタ達の視線を一身に浴びる。
ママは、今年は一切アルコールを飲まないこと!これを一年守ります。
バッタ達が驚きの声を発する。すかさず息子バッタが一言、「僕はチョコレートを食べないでおこうと思っていたんだ。」
皆、ちょっと静かになる。ママがアルコールを飲まないことと、息子バッタがチョコレートを食べないことは、かなり意味合いが違ってくる。アルコールは今のところママだけ摂取しており、時々バッタ達から嫌味が飛ぶ。健康に良くない、一人で飲むのはどうかと思う、アルコール度が強過ぎはしないか、などなど。ところが、チョコレートは我が家で誰もが愛しており、チョコレートを食べない日など珍しい程。
私が何を思ってアルコールを止めることにしたのか、別に皆に公表しなかったように、息子バッタも、何故チョコレートを口にしないことにしたのか、何も告げなかった。そして、確かに彼はそれを守った。
パック(イースター)の時でさえ、チョコを口にしなかった。あんなにチョコ好きが一体どうしたのだろう。以前グルテンでアレルギー反応を示したように、チョコアレルギーということでもない。ニキビに悩んでいる様子でもなく、肥満でもない。ノエルの時には、毎日、その日の窓を開けて中のお菓子を楽しむ大きな12月のカレンダーの箱を嬉しそうに、そして大事そうに寮に持って行ったというのに。お菓子はチョコレートと相場が決まっていた。
それに、これまで一度だって、何かを食べないでおこう、なんて決心をしたことはなかった。
そんなある日、息子バッタが我が家に来る時に使う勉強机の上に、昨年の夏に担任の教師からもらったキットカットが目に入った。「きっと勝つ」という験担ぎでキットカットを生徒一人一人にプレゼントしてくださったと聞いていた。息子バッタはそれを手つかずで机に今でも置いている。
その時、ふと、謎が解けた思いがした。彼にとっては、昨年夏のバカロレアで未だ勝負は終わっていないのだ、と。来年夏のコンクールこそが勝負なのだ、と。
そこまで考えたのか、実際のところは分からない。それでも、勉強を続ける毎日の中で、何か簡単に実感できることをしたかったのではないかと思う。
問題集を解くことで学びは定着するのだろうが、効果の手応えなど、そんな不確実で分からないことはないのではなかろうか。そんな中、チョコレートを食べない、という、単純な行為は、非常に分かりやすいのではないだろうか。自分が決めたことを、愚直に実行する。実行している自分に、ある種の拠り所を求める。
自分を見失わずに、志を常に胸に抱いて荒波にもまれることは、簡単なことではあるまい。
それに比べると母親の年初の抱負は、高尚さに欠けようか。いや、抱負に良し悪しもあるまい。高尚でなくとも、非凡でなくとも、一向に構うまい。するか、しないか、だけのこと。
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