2022年7月9日土曜日

我が家の教育方針

 





トンカは果物に目がない。我が家の庭のさくらんぼに味をしめたからだろうか。誰かが蜜柑の皮を剥いた途端に、さっと忍び寄ってくる。たとえ今まで寝込んでいたとしてもである。この間もグレープフルーツでタブレを作ろうとして、皮をすっと切った途端に腕の中にトンカの鼻面があってびっくりした。柑橘類の爽やかな香りが好きなのだろうか。レモンも然り。


苺、スイカ、フランボワーズ。嬉しそうに食べる。


森を散策している時も、木苺の群生にぶつかると暫くはそこから離れられない。


ドッグフードも、一日三回、ぺろりとあっという間に平らげてしまう。量的には、表示されている量に対してちょいと多めにしている。


それなのに、時々散歩の途中で会う人々から、痩せ過ぎ、がりがり、あばら骨が見えているから問題、と厳しい指摘を受ける。獣医に見せた方がいいとかアドバイスを受ける。こんなに嬉しそうに、カンガルーのように跳びはね、兎の様に駆け回り、チーターのように疾走するのに?こんなに幸せそうな笑顔を振りまいているのに?


トンカは新陳代謝に優れている。今食べた物を即座にエネルギーに変え、見事な瞬発力を発揮する。美しく見惚れる程筋肉がしゅっとついているし、そうでもなければ、あれだけの垂直跳びは出来まい。


大丈夫。そう自分に言い聞かせる。子育ての時もそうだが、周囲の声や溢れんばかりの情報はありがたい一方で、時々どれが最善なのか、自分がしていることが果たして良いのか、と不安になる時がある。トンカの嬉しそうな顔を愛でながら、取り敢えずは今のスタイルで問題ないと確認する。何かあれば、その時にしっかりと軌道修正すれば良い。


庭のレインクロードの実がテニスボールぐらいに大きくなってきている。そろそろ食べごろ。高い梢に鈴なりになっている実は鳥たちに献上するので、屋根から採れる実はそっとしておいて欲しいなと、願うこの頃。ぽっとりと落ちてきて、全てトンカの小さなお腹に入る前に、収穫しよう。



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2022年7月8日金曜日

祈り

 






流れる風に雨の匂いを感じた。

かさかさに乾燥した大地が少しは潤うのだろうか。


衝撃的なニュースを受けて、これ以上書くことができない。

心中よりご無事をお祈りすることしかできない。





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2022年7月7日木曜日

銀色の蛇君を踏まないように避けて、強かに顎を打ち付けるの巻

 





夕方のいつもの散歩コース。森に入る手前の小径の両脇の藪が随分と繁って来たと、のんびり眺めていたが、ふと足元に銀色の細く光る物体を目にし、まさかのマムシかと、踏まないように大急ぎで駆け抜けようとして、どんくさくもバランスを崩し、駆け抜けようとした勢いも相まって、おっとっと、と走り込んで落下。なんとも無様ではあるが、勢いと全体重を顎で受け止めてしまったので、顎が痛いこと、痛いこと。


トンカが心配してなのか、なんか凄いことしていると思ってなのか、慌てて戻ってきたが、ここは何でもないと大人の余裕を見せながら立ち上がり、埃だらけになった上着とズボンを手で払う。


平気の平左、と歩き出したが、じんじんと痛みを顎に感じていた。それでも、いつも通り一時間半は歩いただろうか。家に戻る頃には、顎がお岩さんのように腫れあがってしまっていた。


蛇様だからと、慌てなくても良かったのだが、踏む感触も嫌ながら、踏んで逆襲されるのも怖いし、とにかく、正直なところ超超大慌てをしてしまった。余裕で跳んだり跳ねたりしているトンカをみて、若さなのか、持って生まれた素質なのか、と思ってしまう。


夕食後に一仕事しようと思っていたが、その気持ちは萎え、のんびりすることにした。夜の9時といっても、まだまだ明るい。トンカと、夜の街を歩くことも悪くないのかもしれない。レインクロードの熟した甘い香りが、夜風に乗って優しくあたりを満たしている。



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2022年7月6日水曜日

安物買いの銭失い






 


一つ上の兄から、学生時代によくからかわれたものだった。「安物買いの銭失い」、と。夢見るエンジニア系の彼には、一般庶民の懐状況とか、市場の相場感覚など一切お構いなしなところがあった。省エネなど、ちゃんちゃらおかしいと一笑に付され、協力してくれるどころか、馬鹿にされたものだった。今では、その辺は少しは変わっただろうが、恐らく本音のところは変わっていないだろう。


同じ両親に育てられたはずなのに、まったく価値観が違うというのも面白い。いや、相互補完関係にあるのかもしれない。夢見るエンジニアがいるから進歩があるのだが、彼らを支える地味な我々がいるから成り立つのである。


と、なんだか自己擁護になってしまうが、先日馬鹿な高い買い物をしてしまっただけに、トンカのドッグフードを買うにあたり、ネットで同じ商品ながら安い値段のサイトを見つけ出し、今回そこで注文してしまった。


後から、よく見てみると、なんとサイトはポルトガルのもの。同じ商品で10€以上値段が違うということは、ひょっとしたら製造年月日が古いものなのかもしれないし、保存状態も怪しいかもしれない、と思い始めてしまった。


そして、発注から3日後にして、発送の知らせもなにもない。


ああ、まさか。安いには、安いだけの理由があるのだろう。いやはや。煩悩が多すぎるのか。トンカよ、すまぬ。ドッグフードの底がついた時には、手作りしてあげるからね。待ってておくれよ。


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2022年7月3日日曜日

紫陽花考

 





我が家の庭は出来る限り自然の力に任せている。あまり手を掛けず、草刈りなど最低限のことしかしない。バッタ達への教育方針にも通ずるところがある気もするが、単なるずぼらなだけである。


だから、雨が全く降らない日が続くと、紫陽花の蕾がしゅんと萎れてしまい、開花せずに枯れてしまうことにもなりかねない。さすがに可哀想なので、水を撒こうとしても、二日と続かない。お天気任せ、の庭である。


紫陽花は土の質によって、色が変わると言われているが、我が家の庭では、隣同士の紫陽花の株の花の色の濃さが違っている。パールピンク、濃厚なショッキングピンク、そして華やかなピンク。そして花の大きさもまちまち。葉の形状からも、別の種類とは思えないが、日の当たりが微妙に違う角にあるので、条件が違うと言えば違う。自然とはかくも不思議なもの。


日本の実家では藍色、水色、紫、赤紫、赤、ピンク、と、赤子の頭ほどの大きさで見事に咲いていたことを思い出す。紫陽花は梅雨の季節がある地域にぴったりの植物といえよう。雨が多いノルマンディーやブルターニュでも風物詩の一つ。今年は、例年に比べ降水量が極端に少ないと聞くので、紫陽花たちはどうしているだろうか。


我が家の庭の紫陽花たちは、先日の雨で息を吹き返し、嬉しそうにおしゃべりをし始めている。紫陽花のおしゃべり、をテーマにちょっとしたデザートを作ってみる。なんだか、日本の紫陽花のイメージの方が強く出てしまったかしら。紫陽花の葉を使って、盛り付けを工夫してみよう。我が家のピンク系の紫陽花に慣れているバッタ達にはどう映るだろう。



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2022年7月2日土曜日

鴨になる

 









魔が差した、正にそうとしか言いようがない。これまで、突然の訪問や押し売りに対しては、やんわりとお断りをしていた。どんなに屋根瓦が落ちそうですよ、とか、杉の木が大きくなり過ぎていますよね、とか、タイルを磨きましょうか、とか言われても、「結構です。」或いは「もう別の方に頼んでいます。」と断ってきていた。


それが、どうしたことだろう。午後の2時ごろ、丁度午後の仕事のペースが盛り上がってきている最中に二度もベルが押された。先日、地元の野菜を買わないかと声を掛けられ、いい加減な答えをしたことを申し訳なく思う気持ちがあったのだろうか。屋根瓦が一部吹き飛ばされていて、雨漏りが酷く、フローリングをダメにしたことで、声を掛けてもらった時に対応していれば良かったと後悔の念があったからだろうか。


とにかくも、気か付いたら二人の屈強な男性が、我が家の雨どいの交換作業をし始めていた。ポルトガル訛をわざとか出しつつ、人懐っこい笑顔で、近所で工事をしたばかりで予材があるので、ついでに安く仕上げてあげるよ、と言ってきたのだった。大した額ではない数字を提示するので、そんなものならお任せするか、との気になってしまった。軒樋の一部に小さな穴が数か所あり、そこから雨が降った日にはぽつぽつと水が落ちてくるので、協力接着剤かなにかで、穴を埋めないとなとは思っていたのは事実だった。


トンカが元気に挨拶をしたが、犬は苦手なので、作業時は繋いでおいて欲しいと言われ、家の中に避難させることにした。


案の定、ただ軒樋の取り外しだけでなく、あっちもこっちも取り替えた方がいいよ、と、がんがんと、まるで取り付けてある管を壊すかのようにして、話を進める。しまったな、と思い、値段を聞くと、まあ、最後にまとめるから、とにかく珈琲を淹れてくれないか、と言われてしまう。


珈琲で値段が安くなるものなのか、と思いつつも、そんなことならお安い御用とばかりに、珈琲を淹れ、薔薇の形をしたお砂糖とチョコクッキーをサービスに差し入れをした。


そろそろトンカを散歩に行かせる時間が迫ってきていた。ただ、作業は一通り終わったようだったが、片付けた残っていて、プラスチックや昔の雨どいのペンキの残骸が辺りには散乱していた。なんだか嫌な予感がする。最初に話をつけた男性に、値段のことを聞くと、メジャーを持ってきて、家の周囲と雨どいの長さを一緒に測ろうじゃないか、となった。


と、いうことは、最初の提示の価格は、全体の値段ではなく、1メートルの値段だったのか。真っ青になる。


旦那はどんな仕事をしているのか、と聞いてくる。ここで離婚していると言えば、どんな反応を示すのだろうか。キャッシュで払えるか、と言うので、馬鹿言っちゃ困る、こんな金額キャッシュで置いておく家なんて、今時あるわけがないし、ATMで引き落としができる限度を超えていると告げる。口座振り込みでどうだ、と言えば、来週にはポルトガルにバカンスで帰るので、それではダメだとなる。


一体、私は今まで、何を学んできたのだろうか。先ずは見積もりだろう。それに基づき、合意があって、署名をし、握手をして着手だろう。いやはや。


苦い思いしか残らない。せめて、次の雨降りの日に、雨どいから水が漏れる、なんて悲惨な状況になったり、すぐに錆びてしまうことがなければ良いのだが。自己嫌悪。こんな日に限って、トンカはちっとも言うことを聞かず、せっかく末娘バッタと彼女の友人が作った菜園に入り込みいたずらをしでかし、私の怒りを真っ向から受けてしまう。自分の怒鳴り声に、ますます自己嫌悪。まあ、仕方がない。


魔が差す、ああ、本当に、魔が差したんだわな。


掛けまくも畏き 伊邪那岐大神 

筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に 禊ぎ祓へ給ひし時に 生り坐せる祓戸の大神等

諸々の禍事 罪 穢 有らむをば 

祓へ給ひ清め給へと 白すことを聞こし召せと 

恐み恐みも白す



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2022年7月1日金曜日

捜索願い

 





黒のイングリッシュコッカーの捜索願いが近所の犬コミュニティから回って来た。あの時の犬が未だ見つかっていないのか、と胸が痛む。夕方トンカといつものように森を散歩をしていた時、必死に犬の名前を呼んで、犬笛を鳴らしてる二人と出会っていた。


あそこなら、いつもトンカと散歩をしている場所ではないか。どうしていなくなってしまったのだろう。そして、今、その子はどこにいるのか。身につまされる。コミュニティの人々は、いなくなった犬、シリウスのことを心配し、可哀想に、どこにいるのかしら、と呟いているが、シリウスもそうだが、彼の飼い主の心情を思いやると、もう胸が張り裂けんばかりになってしまう。


兎か鹿を見て、追いかけていったのだろうか。時々、トンカも耳をピンと立てて、カンガルー立ちをし、ぱっと藪の中に駆け込んでいくときがある。深追いしないでおくれよ。そう願うが、トンカは早々と切り上げて戻ってくる。トンカがなかなか戻ってこない時は、トンカにとっての餌にありついた時。それはティッシュの時もあるし、馬の糞の時もある。


一度、ブルターニュの島に行った時には、大平原で兎を追いかけて行ったが、やはり早々に戻ってきていた。あの頃は未だ幼かったが、6ヶ月になった今はどうだろう。


あれほど真夏日が続いていたのに、ここにきて急に秋かと思う程涼しくなっていて、朝夕は寒い程。しかも夜には銀の粒がばらばらと天から落ちてきている。熱中症の心配はないが、雨露、ちゃんと凌いでいるのだろうか。


森にはイノシシもいるし、写真で見る限り毛並みも上等な品のよい純血種。ふとした出来心で連れて行ってしまう人が出てこないとも限らない。いや、取り敢えず元気であれば、良いのか。


シリウスが飼い主のもとに無事に戻ってくることをただただ祈るばかり。森の主様、どうぞシリウスをお守りください。


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