久しぶりにミシンを踏む。
末娘バッタの学校の今年のカーニバルのテーマは「フランス」。
子供達は、テーマに沿って好き勝手に仮装し、お祭り騒ぎとなる。
ジャンヌダルクとなるには、鎧が必要、
サッカーの選手にはなりたくない、
マリーアントワネットもちょっと違う。
悩みに悩んだ末、
末娘バッタが選んだフランスの象徴とは。。。
ちょっとこちらも、吹っ飛ぶキャラ。
そのテーマは何れご紹介。
「ママ。衣装、よろしくね。」
と可愛らしく頼まれ、
このところ、全く忙しくて何もしてあげられないこともあり、
お、おお、いいとも、
と答えてしまっていた。
青と白のシーツを縫い合わせれば、何とかなると思い、
ミシンを出しながら、
母を思う。
サロンに存在感たっぷりにある大きめのソファーセット。
この衣替えを3回してくれたのは母。
一回目は、
長女バッタがお腹にいた夏。
友達が事務所の引越しでいらなくなったから、
取りに来てくれるならタダであげるわ、
と言われ手に入れた事務所用の大き目なソファーセット。
小さなアパートのサロンを大きく支配していたが、
ベージュ色のコーデュロイ系の生地が、
赤ちゃんの誕生に相応しいとも言えず、
明るく楽しい雰囲気に、と、
夏遊びに来てくれた母がカバーを作ってくれた。
母は思い立つと、あっという間に実行に移してしまうタイプ。
夜中に考えつき、寸法を取り、図面を引き、型紙を切り、
翌日は私を説得し、生地を一緒に買いに走り、
その日のうちに友人から借りていたミシンを踏んでいた。
が、友人のミシンはどうも調子が悪い。
そこで、お達しが出る。
ミシンぐらい買いなさい、と。
7ヶ月目のお腹を揺すりながら、
アパートからそう遠くないお店にミシンを買いに行き、
汗を掻き掻き、ふうふう言いながら、歩いて持って帰ってきたことを
今でも思い出せる。
そうして、黄色の地のオレンジの花が咲く
明るいソファーセットを作り上げ、
母は日本に帰って行った。
二年後に、
今度は息子バッタがお腹にいる時、
やはり日本から母はやって来て、
いつの間にか汚れてしまったソファーを触り眺めつ、
図面と型紙を取り出させ、
新たな決心をし、明日、生地を買いに行こう、と宣言する。
ミシンを踏むのは母。
纏り縫いをするのは私の役目。
ちょっとしんどかったな、との思いが過ぎるが、
「新たに生まれてくる赤ちゃんに作ってあげたいわ。」
の一言に押される。
そして、今度は、青い波の地で、黄色の錨が模様となる、
やっぱり明るく楽しい柄のソファーセットが出来上がる。
その度に、
クッションも同じ生地に模様替え。
そうして、暫くは、そのソファーセットで落ち着いていた。
2年後に、また新たに末娘バッタがお腹に。
でも、4歳と2歳になる長女バッタと息子バッタとの相手で
恐らく手一杯だったのだろうか。
ソファーセットは、青い波の地で、黄色の錨の模様のままであった。
そうして、
末娘バッタが3歳の夏、
一人がらんと家に残され、現実を突きつけられ呆然としていた時、
日本の母からの電話。
黙っていようと思っていた。
というよりも、誰に何かを言える状態ではなかった。
すぐにばれた。
何故だろう。
何も言わなかったのに。
何故だろう。
私でさえ、彼に恋人がいるなんて、知らなかったのに。
あれだけ仕事で忙しいのに、
すぐに母は飛んできてくれた。
そして、
ソファーカバーを作ろうと、
いつもと同じように提案し、
2度の引越しを経ながらも大切に仕舞っておいた図面と型紙を出させ、
生地を買いに走る。
今度は、白地に金の刺繍模様。
明るく落ち着いた中にも華やかさがある。
滞在期間の丸3日間、ミシンを踏んで、
3人掛けの大きめな長いソファーに、
一人掛けの大きめなソファー2つ分を作り上げてしまう。
そうして、
日本に帰った行った母。
幼かった子供達はあまり良く覚えていない。
漠然と、自分達の誕生の度に、
日本のマミーがやってきて、
新しいソファーカバーを作ってくれたと思っている。
ミシンを踏んでいると、
バッタ達がパパのところから戻ってくる。
嬉しそうに覗きながら、
4人目の赤ちゃんはいないだろうから、
今度は子犬でも飼えば、
マミーは新しいソファーカバーを作ってくれるかな、
なんて相談し合っている。
さあ、この衣装が出来上がったら、
先ずは日本の母に連絡しようか。
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