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なんだって、まだ自分の人生を彼に左右させられているんだい。
去年、バッタの父親の件で落ち込んでいた私に、オーストラリアの父、ジョンが掛けた言葉。まったく、彼らしい、憎らしいけど真実を突いた言葉。
今でも懐かしく思い出す夜の静かな郵便局。
田舎の郵便サービスはあてにならない、と、私書箱を使っているので、日中の配達物はゼロ。市内の郵便局の私書箱まで、確認をしに行かねばならない。
木曜の買い物デーの日は、母のグローリアと郵便局に。
そして、長いバカンスから帰ってきた日には、便りが心待ち遠しい私の気持ちを思いやってか、父のジョンが遠回りをして、郵便局に寄ってくれた。
そして、毎回、そう、決まって毎回、何の手紙もない時は、
「Nobody loves you .」
と歌うように、言うのであった。
これには堪えた。
冗談だと分かっていても、からかいの言葉だと分かっていても、堪えた。
そう、真実が隠されているから。
ジョンの一言は、今度も堪えていて、時々、私の心を哀しくさせた。
言い訳なら、沢山浮かんできた。
私だって好きで彼のことで悩んでいるわけではない。無関心でいたい。
子供がいるから、子供のことで、彼が連絡するから、、、。
無関心。
何を言われても、受け入れ、スルーすること。
できるだけ、心がけてきた。
感情的にならずに、淡々と対応。
そうして、今度も、息子バッタのむせび泣く肩を抱きしめながら、
ジョンの言葉が頭を巡っていた。
いったい、なんだって、まだ彼にこれほども翻弄されるのか。
長女バッタが朝8時半から英語の試験に行っていた土曜日。
翌日の日曜の早朝から一週間の林間学校にでかける息子バッタは私と残る予定になっており、長女バッタと末娘バッタが久々にパリのパパの家に行くことになっていた。
試験は口頭試問が長引いており、どうやら6時半を過ぎるとの長女バッタの情報を彼に伝えるが、久しぶりだから、と、自分の息子と一緒に5時半には我が家に来ていた。
その間、慌てて息子バッタの準備の為に、サロンで洗濯物の山と格闘していたが、その様子を見せたくなかったのか、末娘バッタがサロンの扉を学校鞄で開けられなくしており、
パパから不快な小言を受けていた。
末娘にしたら、パパはもう我が家の人間ではないのだから、
プライベートな域に土足で入って欲しくないのだろう。
必死に、彼の息子とも外で相手をし、家に入れない工夫をしている様子が、胸に痛かった。
そうして、7時ごろ、長女バッタが疲労困憊の面持ちで帰宅。
お茶ぐらい、と思うが、1時間以上も待ちぼうけをした父親は、不満げ。
iPhoneを壊したこと、フランスの身分証明書をなくしたこと、
あらゆることに小言が始まる。
ちょっと待ってよ、ここは、バッタ達と私の家なのよ。
そんな思いが募る。
長女バッタを庇う言葉しかみつからない。
果ては、彼女の参考書をつまみあげ、
購入してから、手もつけていない、と声を荒げる。
ねえ、そんな言いよう、ないんじゃない?
彼女がヤル気になるような、もっと言い方あるじゃない。
と、やわらかく言う。
いや、言ったつもり。
それが、逆鱗に触れたのだろう。
「一体、どうして君はそうやって私の意見に反するんだ。事実は事実じゃないか。彼女は勉強をしていない。」
怒鳴る。
堪忍袋の緒が切れる。
そんなに怒鳴るなら、出て行ってくれ、と叫ぶ。
私の家で、バッタ達と私の家で、不満を言い募ることはやめて欲しい。
「それ以上、言うなら、医者を呼ぶぞ。君は気が狂っている。」
いや、もう、ここでは、これ以上は書くまい。
彼は泣き叫ぶ長女バッタ、末娘バッタを引き連れ、
もちろん、自分の息子も連れ、
車を急発進させ出て行く。
その車体に、素足で蹴りを入れてしまう。
入れてから、そちら側に、彼の幼い息子が乗っていたと思いあたり、
後悔の思いが沸く。
家に戻れば、
息子バッタが嗚咽しむせび泣いている。
震える肩を抱けば、「恐かった。」と。
私よりも背が高くなった息子バッタを強く抱きしめながら、「ごめんね」しか浮かんでこなかった。
その日は、それから18歳の誕生日を迎えたバイオリン仲間のお祝い会があって、バイオリンを携えて行くことになっていた。
なんとか支度をし、出掛ける。
帰ってきてからも、パリに行った長女バッタからは携帯に何の連絡もない。
父親への怒りで、彼女に対しても辛い言い方をしたことを後悔していた。
そこまで、父親が心配しているのだから、ママの監督不行き届きを責められるのだから、父親のところに行きなさい、と。
問題は、最終学期の彼女の数学の成績にあった。良くない点を隠していたらしく、成績表はそこだけ落ち込んでいた。
成績を毎回確認してこなかった親が悪い、と彼は言う。
このことで、一度電話でやりとりをしている。
勉強をするのは本人なのだから、本人と話をしてくれといっても、彼は聞く耳を持たなかった。
そして、彼と私、それに長女バッタの三人で話し合いをすべきだ、と主張する。
待ってくれ。
なんだって、ここで二人仲良く、子供に説経とのスタイルになるのか。
一体、何を考えているのか。
彼女とは別途、数学のことでは、話し合っている。
それでいいと思っている。
不満なのは父親。
あの時も私は言っていた。
勉強をしないで、悪い成績なら、パリに行って、と。
長女バッタは泣いて主張した。
「どうして、私の数学の成績が悪いと、パリに行きなさいと言うの?関係ないじゃない。」
あの時も私は説明した。
パパから、ママが悪いと言われることが耐えられないの。
滅茶苦茶な話。
長女バッタは、どう受け止めているだろう。
末娘バッタは小さな心を震わせて、息子バッタのように泣いているんじゃなかろうか。
気になるのか、息子バッタが、長女バッタに電話しよう、と言い出す。
よし、と電話をかけるが、電源が切れていることを告げる機械音が響くだけ。
翌日、
ひょっとしたら帰ってこないのでは、と不安に思いながら靴下の山と格闘していると、
バッタ達が帰ってくる。
「ごめんね。」
腕に飛び込んでくる末娘バッタを抱きしめる。
「パパがいけないんだよ。試験で一日中大変だったのに、怒ってばかりいっているから。」
そう言って、きつく、きつく抱きしめ返す。
長女バッタとはハグするタイミングを失う。
宿題をしなきゃ、と、
ノートを持ってきて、それでもキッチンでお店を広げだすので、
話を聞きつつ、アドバイス。
何かのきっかけで前日の話になる。
ごめんね。時々しかいないパパから、あなた達のことを悪く言われると、庇いたくなって、そしてあんな風に言っちゃって。
「ねえ、ママ。あの時のママ、自分で、どうだったか覚えている?」
え?もちろん、覚えているけど。
「すっごく恐かったよ。あんなに怖いママ、初めて見た。」
え?
「パパはさぁ。パパは、いつも私たちと一緒じゃないから、子供達に影響が一番強いママにお願いしているんだよ。だから、私たちのこともママに言うんだよ。」
え?あなた達のことを庇うことなんて必要なかったのね。
「違う、違う。」
後の会話は覚えていない。
自分が当たり前のように正しいと思っていただけに、
長女バッタの一言は胸を突く。
パパが文句を言ったり、機嫌が悪いのは、日常茶飯時。
そう言う長女バッタ。
マリアナ海溝からの浮上は、
どうやら暫くはできそうにない。
私は気が狂っていて、医者が必要なのか。。。
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もしも~し、もしもしもしもしもしもしもし。クッカバラさん、いらっしゃいますか。あかうなです。海の中に住んでいるあかうなですよ。どうぞ私の背中に乗ってください。水面はすぐですからね。ちゃ~んと私をつかんでいるんですよ。もしもし、もしもし。
返信削除あ、あかうな、、、さん?
返信削除あの、いいのですか?あれ?これ、ひげ?あ、つかまります。。。
なんて、、、。いつもありがとうございます。あかうなさんのおかげで、海底から出てこられそうです。そうかぁ。これ程の大蛇であったとは。千と千尋を思い出しました。あかうな様、様でございます。