末娘バッタの話を聞きながら、
スーパーの駐車場の階段を昇りつつ、ふと、
そう、ふと、ポケットの携帯の画面を見る。
これは本当に癖になってしまっていて、
ネットワークがない地下や、
震動が感じにくい運転の後など、
ついつい、着信がないか確認してしまう。
と、どうやら、思わぬ誤作動により、
よりによって、名簿の一番、アントワーヌを呼び出してしまっているらしいことに気がつく。
アントワーヌは、我々、七人のサムライの長。
すぐに切る。
が、発信記録には残ってしまう。
つまり、相手の着信記録には、残ることとになろう。
相手の番号が分かることは便利ながら、こんな時は、色々厄介だな、と、
何も分からなかった昔を偲ぶ。
その間も、末娘バッタのおしゃべりは止まず、
いつの間にか、そんなことも忘れてしまう。
そうして、夜もベッドに入り込み、
さて、そろそろ今宵にも別れを告げようか、と思う頃、携帯が震える。
ちょっと訝しげにクリックすると、
アントワーヌ。
土曜までヘルシンキ。急用の時はメールを。
おお!
彼は、こんなSMSの効果を、一体、どれだけ知っているのだろうか。
数学博士。
エンジニア。
マルセイユの彼の血がそう書かせるのであろう、「kisses」のサインオフ。
それにしても、どうしていつも英語なのだろう。
いや、
これ以上深入りはすまい。
簡単に、間違ってさっきはコールしてしまったこと。急用はないこと。そして、ムーミンの世界を満喫し、時間があれば、と、前回訪れた素朴ながらもロマンチックなレストランの名前を記す。
そして、こちとらも、オジーのカントリーキッドだい、いや、クッカバラだい、と、「kisses」でサインオフ。
いや、オジーならば、さしずめ「lots of love」、か。
それから暫くしても、
携帯はひっそり閑としている。。。
心の湖がざわざわしないうちに、寝てしまうことにする。
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