お昼の時間を待ったかのように、携帯が震える。
ランチの誘い。
と、同時に、PCの画面にメールメッセージが入る。
同僚からのランチの誘い。
迷わずに携帯を手に、SMSでの返事を続ける。
待ち合わせはメトロで一駅先のところ。
この分なら、歩いて行こう。
このところ、夜中から明け方にかけての集中豪雨が続く。
暗闇に一閃。稲妻と雷鳴の轟き。天窓を叩く雨粒、いや、雹だろうか。
眠りの淵で、ぼんやりと思う。
ミラベルやクエッチの小さな青い実は、振り落とされてしまっただろうか。
そんな日は、流れる雲の中に朝の輝きを感じ取りつつ、外に出ると、
土の香り、濃い緑の香りに混じり、薔薇や卯の花が薫たち、一瞬眩暈さえ覚えるほど。
太陽を真上に仰ぎ、川面をきらめかせたセーヌ河は、毎夜の雨によってか、たっぷりとしており、
カヌーがすーっと槍のように走っていく。
数年前の夏、カヤックに挑戦し、
ちっとも上手く前に進まずに、いらいらし、
余計バランスが崩れて、もう少しで転覆しかけたことを思い出す。
冷静沈着でないと、楽しめないスポーツ。
リラックスしたバカンスならではのスポーツであろう。
19の夏に、自動車運転免許を取ろうと、教習所に通い、
最初の運転者性格適任テストで、満点を獲得したことを思い出す。
あれ程分かりやすいテストはなかったな、と。
設問者の意図がバレバレ、
何が正解か、が明白。
だから、決して私の性格が運転に向いているのではなく、
どんな性格が安全運転に向いているのか、を把握していたというだけのこと。
冷静沈着、など、
どう逆立ちしても、私の性格ではないであろう。
そんなことに思いを馳せ、
新調したストッキングの伸びを楽しみつつ、
シンプルながらも足元をすっきりと見せるヒールを履いてきて良かったな、とにんまりする。
ジャケットの中には、
明るい細縞のプレーンなシャツ。
早々とランチを楽しむ人々で賑わう通りを歩きながら、
携帯が振るえ、
どうしたものかと受けてみれば、
学校関係の連絡。
と、向こうから、
しっかりと目的を持った者のみが持つ軽やかな足取りで、
近づいてくる相手に気づく。
さっと目が合うと、
ぱっと笑顔がほころぶ。
さあ、お昼にしよう。
ママがご馳走するわよ。
パリのパパの家から通って一週間の企業研修をしている長女バッタ。
まぶしく思われるのは、昼間の太陽の光を浴びているからだけではあるまい。
頬を寄せ、ビズをする。
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