むせる程の甘い芳しい香りが一気に庭中に放たれている。
いつの間にかそんな季節になってしまったのか。
手が届かない程大きくなった枝を見上げる。
昨年は枝を伐採しなかったので、花のつきが悪いと半ば諦めていたのに、このところの夏日の様な日差しに蕾が芽吹いたのか、あちこちで純白のとんがりコーンの塊が揺れている。
白と赤紫と薄紫の花束を抱えて、遊びに行った日のことを思い出す。
部屋中が甘い香りに包まれて、言葉にしていない思いまでもが伝わりそうな空間を楽しんだことが、今更のように思い起こされる。
今年は、香りを届けようにも、叶わない。
その時、松の枝から、ぱっとピーが舞い降りる。黒と白のトレードマークの姿に、すっと青い羽根が太陽に輝き、なんだか気品さえ感じられる。
挨拶に来てくれたのかしら。
ピーの使いじゃあ、ちょっとロマンチックさに欠けるか。
爽やかな五月の風が枝を揺らす。
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