ママさぁ。そういう話は、親が子供に言う話じゃないよ。
そう言ったっきり、うつむいて無口になる息子バッタ。
やっぱり、ママは息子に甘えちゃいかんのね。ママの悩みを息子に相談しちゃいかんのね。ママはやっぱり、威厳ある親であり、辛いことも悲しいことも、皆胸に仕舞い、子供の前では毅然とした態度をとらんといけんのね。
だから、夫婦がいるんだろうけど、ママは独りだからな。
分かった、もうこの話はしないよ。さあ、美味しいものでも作って食べようか。
うつむいた顔は一向に上を向かない。
漸く口をきいたかと思ったら、本気で仕事を変えないと、身体を壊すし、家族との時間もない、と説教される。
うん。分かっているよ。後三年。三年したら、どこかアジアの国で、ママを必要とする国に行くことにしている。
ぎょっとした顔。
そんなところで、ママ、何の役に立つのさ、と言わんばかり。
大学三年の頃、海外青年協力隊の説明会に行ったときの絶望感が甦る。
看護師でもない。教員でもない。腕力に自信があるわけでもない。スポーツ選手でもない。
一体、何ができる?
ちょっと待ってよ。あの頃から成長していないのだろうか。まさか。
三人の子を産んだ経験なんて、実はたいしたことないし。
日本語を教えることはできるかもしれない。
その国の人たちは日本語を学んで、どうするの?需要は少ないよ。
息子バッタに言われてしまう。
参ったなぁ。最近、息子バッタとの立場逆転の会話が少なくない。
ママはもうちょっと自分の人生のこれからについて考えることにするよ。
パンションフルーツの花が満開。
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