2016年9月13日火曜日

真夜中の交流









仲間の一人から花の写真が送られてくる。
写真大会の始まり。

仲間とは、夏にバイオリンの合宿に一緒に行った親のグループ。当初は連絡網として活躍したWhatsApp。そのうちに、子供そっちのけで、高校生よろしく親のみが夜になると連絡し合って笑い合っている始末。その仲間との連絡は、合宿が終わっても暫く続いていた。

ある時、誰かがバカンス中に送ってきた花に対して、返事の意味で庭の花を撮って送っていたら、仲間が仲間を呼び、大勢で写真コンテストとなった次第。

バカンス中の真っ青な空を背景に、或いは真っ白な波しぶきの中を、はたまた牛が寝そべる傍でと、皆趣向を凝らしたもの。一人我が家の庭の紫陽花や薔薇を被写体に、美しさをモットーに張り切って参加した。

さて、バカンスも終わり、子供達は新学期でにぎわっている中、仲間の一人が思い出したかのように、皆への挨拶か、今夜花の写真を送ってきて、久々の写真大会となる。

数人が自慢の庭の花を送ったところで、ちょっとずるいが、フィリピンの蝶々園で撮影した見事な真っ赤な花を送る。すぐに、最優秀に選ばれるが、本当に庭で咲いている写真なのとのコメントを送ってくる仲間も。

画像はスクリーンに映し出されるけど、花はあなたの心に咲いているのよ。

と書き送る。

拍手が送られたと思ったら、今度は突如、諺、格言大会に。


堆肥の山から最も美しい薔薇が咲く

人は二つのことを同時にできないというが、象だって走ると同時に尻を掻くことはできない

イタチだけが自分の臭さを知らない

植えなければ芽は出ない

水によって植物は成長し、水によって腐敗もする

自分らしくあれ。他人の個性は既にとられてしまっている

キリンはサルと一緒に木登りをしたがらない

豚もおだてりゃ木に登る

実際にするまでは、いつだって無理と感じられる

愛さえ深ければ全ては許される

愛は時に魔法のようであり、魔法とは時に幻想である

。。。

夜が更けることも忘れ、ティーンのような仲間のおしゃべりは続く。。。






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2016年9月5日月曜日

茜雲









大学が始まる前から毎日のようにイベント尽くしの長女バッタ。

中国語サークル、国際学生サークル、試験お疲れ飲み会、ランニングチーム、ヨガサークル、オランダ探索チーム、、、

本業の勉強の方はどうなのか、その辺のニュースは入ってこない。

と、携帯に「今夜はオーケストラのリハーサルに行くの。バイオリンは友達に貸してもらうんだよ。もしかしたら、仲間に入れてもらえるかもしれないの。その時には、遊びに来る時にバイオリンを持ってきてもらっても、いいかなぁ。」

そんなメッセージが入っている。

北京には背負っていったバイオリンだが、どうやら一度も手に取らなかったらしい。今回は電車で移動とのこともあり、二つの大きいスーツケースにリュックで、手一杯の彼女は、最初からバイオリンを持って行くことを諦めていた。諦めていた、というよりは、持参することは今回彼女の選択肢になかった。

彼女のバイオリンケースが我が家のピアノの下に置いてある様子に胸を痛めたが、仕方ない。音楽を奏でるという財産を与えてあげたつもりでいた。それを生かすも殺すも本人次第。

親が良かれと思っても、子供が自覚しなければ何もならない。あの10年間の日々は、親の自己満足だったのか、そんな風に苦々しく思うこともあった。

それが、である。
長女バッタのメッセージを聞いて、思わず涙がこぼれそうになる。

大切な手紙を漸く見つけてくれたような、そんな気分。

彼女自身が求める音楽。
きっと、これまでとは違った音色になるのだろう。

空高くたなびく雲が茜色に染まる。











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2016年9月4日日曜日

カラマンシーの国から







郵便事情がすごく悪いのよ、着かないかもしれないけれど、といって、マニラの友人が、私の忘れ物を二週間前に郵送してくれていた。忘れ物は紫のタンクトップ。末娘バッタのものを勝手に失敬して着て行ったものだった。

書留郵便にしてくれたらしく、追跡番号の連絡がある。
フィリピンの郵便局サイトで検索してみると、

Your tracking info was not found, Possible reasons:
1: The carrier hasn't accepted your package yet.
2: The carrier hasn't scanned and entered your package tracking information into their system yet.
3: Your tracking number is incorrect or invalid.
4: Your tracking number has expired and removed from carrier's system.

おっと。
どうやら受付が終わっていないらしい。マニラの友人は、全部の『reasons(言い訳)』がありがち、と笑ってコメント。

それから二日ぐらいは面白半分確認していたが、いつも同じメッセージが出るので、半ば諦めてしまっていた。届くものは届く。届かなくても、どこかで誰かに着てもらえれば、紫のタンクトップも嬉しい人生と言えるのでは、などと思っていた。

それが、思いがけず、ちゃんと郵便受けに入っていた。

封筒を手にした瞬間、色々な思い出が波のように押し寄せてくる。





冷房の効いた部屋から外に出ると、むっとした暑さと湿気が一遍に襲ってくる瞬間、久々に身体中の肌の細胞が活性化され、身体の奥底からエネルギーが湧いてくる、あの特殊な感覚。


トライシクルに揺られながら、茹だるような暑さと、うるさいエンジン音と振動で、いつの間にか眠気に襲われる心地良さ。



延々と続くかのように思われた炎天下での散歩。ガイドブックに書いてあった土産物屋を探して歩いた時、友人の顔から流れていた滝の様な汗。


散歩の途中で見つけた、目を見張るような真っ赤なブーゲンビリアと、その脇で甘い香りを放つクリーム色のプルメリア。




フィリピン料理の真髄を語っていると思われる料理本を買いたいと言う私のわがままを聞き、土砂降りの中走り回る友人の背。



そして、椰子の木のジャングルの中をうねる緑の大河。


カラマンシーの濃厚な緑、小さなオレンジ色の果実、黄緑色の大きな種、そして爽やかな香りがいつまでも心に響く。







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2016年8月31日水曜日

青く透き通った空








日本では仕事関係でFBやLINEを使うことが多い。国によって嗜好が違い、流行りがあるらしく、気が付くと、日本向け、中国向け、フランス向けとFB、LINE、WeChat、WhatsApp、Skypeと様々なアカウントを持つに至る。

正直なところ、公私混同を避けたいが、FBで仕事関係者から友達申請が来ると断れない。悪気ない友人による写真での名指し投稿を恨めしく思う時も少なくない。息子バッタからは、ママが逐一僕の行動を知るのって変だよね、と友達申請を断られていた。逆に末娘バッタからは、彼女がアカウントを作った時に、すぐに申請が来ていた。長女バッタは、確か私がアカウント作った時に、友達申請を出し、受け入れられていた。ノンポリと思われる長女バッタのこと、来るものは拒まず、の精神なのだろう。

ひっそりとしておこう、と思っても、心震える写真を撮影した際には、その感動をシェアしたくなる。メッセージもなく、写真だけをFBにアップ。そんなママの様子を見兼ねてか、長女バッタからInstagramを紹介される。ママにぴったりだよ、と。

Instagramでは、ハンドルネーム使用者が多いらしく、LikeしてもFBのように金魚の糞のようについてまわらないので、いかにもすっきりとしている。そのうち、長女バッタと末娘バッタがフォロワーとなり、私も彼女たちのフォロワーとなった。滅多に投稿されないが、彼女たちのみずみずしい感性に触れんばかりの写真を帰宅途中の電車の中で発見することは、実に楽しい。

一人でバイオリンの講習会に行っていた末娘バッタによる投稿は、嘗てない程に感動してしまった。

講習会が開かれているアルプス山麓の写真に、「The notes are on the paper but the music is inside you」のメッセージ。

楽譜には音符が並んでいるが、音楽は君たちの心にある。

講習会のバイオリンの教師の言葉であろうか。彼女の心を貫いた言葉。それを書き留めようとした彼女。

末娘バッタの成長を思う。

高校生の頃、心の琴線に触れる言葉を書き出して壁に貼っていたことを思い出す。
ベベと思っていた末娘バッタも、この9月から高校生。

どこまでも青く透き通った空を見上げる。






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2016年8月28日日曜日

期せぬ蝙蝠の訪れ







日中の暑さをどうしても取り込む二階の寝室の窓を全開にし、一回のコンピューター室で一人PCに向かっていた夜。

パパに呼ばれたからと息子バッタはパリ。

暑いからか、その気にならないからか、ヨーグルトのみの夕食を終え、真っ暗な我が家の中で明かりがある部屋は、私のいるコンピューター室。

近所は未だバカンスから帰っていないのか、夜は静けさをしょって這い寄ってくる。

と、ばさばさばさ。何だか聞き覚えのある音がしたかと思うと、黒い影がさぁーっとコンピューター室に入ってくる。

行き場を失って、気が狂ったかのように、ばさばさと音を立てながら、その黒い影は天井を旋回し、急降下をしたかと思うと、急上昇をし、次の行動がつかめない。

血の気がなくなる。
まさか。


どうしてだろう。
もう7年以上も前になろうか。あの日も暑い日で、窓を開けていた。
寝室で本を読んでいたところ、ランプに羽虫にしては音が大きい物体がぶつかってくる。

鳥かしら。

訝し気に目をやり、声こそ出なかったが、飛び上がってしまう。

蝙蝠。

動物園で見たことのある、洞窟にいる、おなじみの蝙蝠。

蝙蝠君には悪いが、ドラキュラの仲間であり、悪者の使者とのイメージしかない。

幼い時に見たテレビ番組、アニメのバットマンの主題歌の終わりに、「蝙蝠だけは知っている。ワッハハハハァー!」という箇所があった。喜んで歌っていたが、正直怖かった。
本当に苦手。

それなのに、寝室に訪れるなんて。

あの時は、蝙蝠がぽたりと床にへばってしまい、その上にプラスチックの箱をのせ、うまく引きずって蓋をし、外に逃がしてやった。

見まいと思いながらも確認した蝙蝠の顔。

人間の顔をしていて、本当に怖かった。


それがどうして、また訪れたのか。
独りだから、心配してくれたのか。

暑くて調子が狂って、煙突から降りてきたのだろうか。それとも、全開していた寝室の窓からか。

今回の蝙蝠は床にぽとりと落ちる様子もなく、飛び交うばかりなので、取り敢えずは一人で部屋にいてもらうことにする。

暑いだけでもうんざりなのに、夜を蝙蝠捕獲に使いたくはない。

ああ、蝙蝠君よ。
私は独りで大丈夫だから。安心してね。
明日には窓を開けておくから。

ひっそりと飛び交う音がやんだコンピューター室のドアに向かって呟く。







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2016年8月25日木曜日

16歳の夏








今年も一人でバイオリンの研修に参加すべく出掛けて行った末娘バッタ。一人残った息子バッタは、何を思ったのか毎日庭の木の伐採に勤しんでいる。

初夏になると、毎年クリスマスツリーのように、高い杉の木に絡まった藤の花が見事だが、野生の藤ほど手に負えないものはない。しなる枝は太くがっしりと絡みつきながら、どこにでも這っていく。その藤の根元など、あるようでない。いや、枝全てが根のように張り巡らされ、そこから新たな枝を伸ばし、とにかく繁殖力は凄まじい。

その藤を相手に奮闘。

藤の枝が絡みついていた紫色の花をつけるリラも一緒にばっさりとしてしまった。

一日を終えて家に戻ると、ガレージの前が伐採した木、枝、葉の山。翌日にはこれが細かく裁断され、袋に詰め込まれていた。

彼が自主的に家の事をしてくれたのは、今年に入ってもう何回目になるだろう。しかし、庭の木の伐採は初めて。頼もしくもあり、嬉しくもある。

夜、一緒に携帯で撮影した写真を見ていると、初夏のコンサートの写真が出てくる。

バイオリンの演奏は好きなのに、人前で弾くことをとにかく嫌がる息子バッタ。バッハのバイオリン協奏曲第一番、イ短調の第二楽章。彼が選んだ曲。テンポの良い第三楽章を選ぶのかと思っていたが、表現が難しい第二楽章を選ぶとは。

毎日練習を重ね、当日、苦悩の表情で登場。間奏の間も、眉間に皺を寄せ、辛そうにしている。

演奏が終わるや、アルトやチェロで伴奏をしてくれた仲間達に笑顔も見せず、観客に挨拶すら満足にせず、拍手喝采の中、去って行く。その後ろ姿から、泣かんばかりであることが伝わってくる。

完璧な演奏を求めたことは、親として一度もない。彼の世界に響く音楽を奏でることができずに、苦しんでいるのだろうか。楽しく演奏する時期は過ぎてしまったのか。

あの日、日本から母が来ていた。腫れ物を扱うかの私に見兼ねてか、孫である息子バッタにバッサリ。観衆に挨拶もろくにできず、仲間に感謝の気持ちも言えず、ましてや、恩師にお礼もせずに、あの態度はなんなのだ、と。勝手を知っている日本であったら、首根っこ掴まえて舞台から引きずり下ろすところだった。情けなかった、と。

恩師も含め、フランスの仲間達の反応は全く違っていた。既に息子バッタの性格を知っており、彼の演奏を喜び、楽しんでくれていた。恩師に至っては、それだけ演奏をするに難しいレベルにあるのだから、と、彼を擁護する。

5歳の時から、我が子のようにかわいがってくれている仲間達。息子バッタや私に甘えはなかったか。確かに、彼に強く言うことで、彼が弓を置くことが、私には怖くてできなかった。彼から音楽を奪うような結果になることだけは避けたかった。

それでも、母の言葉は当然のことであり、深く、真摯に受け止めるべき内容。母の言葉に涙した息子バッタ。言葉少ない彼のこと、その涙が意味するところは、実は分からなかった。祖母から厳しい言葉を受けての涙か、俺はなんと情けない男だと思っての涙か。皆に申し訳ないと思っての涙なのか。

それから一月以上が経ており、一緒に初めてゆったりと写真を見たことになる。

あの時、マミー(フランス語でおばあちゃん)は厳しく言っていたけど、ちゃんと皆と一緒にいい音楽を奏でていたよ、と、そんな言葉が口をついて出ていた。

するとどうだろう。

「いや、マミーが言いたいこと、良く分かったよ。マミーは間違っていない。」
そう言うではないか。

そして、バカンス中にテレビで見たオリンピックのことを話し出す。あんな晴れ舞台なのに、ちょっとしたミスをしただけで、多くの応援をも顧みず、不機嫌になり、泣き叫ぶ姿をたくさん目にし、マミーが言っていたことは、これなんだ、と思ったと言う。

悟ったのか。

僕のミスはちょっとじゃなくて、本当にひどいものだけどね、と付け加えながら。

でもね、問題は分かったけど、自分の演奏にだけ集中してしまうから、演奏態度を改めることができるか分からないよ。

自分の非を認め、自分の弱さを自覚する。

なんか、大きくなったな。身体だけじゃなく。
何も言わず、その大きな肩をぱんぱんと叩く。彼の次の演奏が楽しみになる。




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2016年8月21日日曜日

爽やかなグリーンマンゴジュースで乾杯








ブルターニュの夏のバカンスから一人でフェリーと電車で戻ってきたかと思うと、翌日にはスーツケース二個を押しながら北駅から新たに旅立っていく。

大人になるとは、こういうことなのか。
独り立ち。

余りに厳しく叱ったからだろう。後姿のパジャマの裾が震えていて、はっとしたことが昨日のように思い出せる。彼女が一年生か二年生の頃。ママとパパが勝手に本人によかろうと選んだ学校で出る日本語の宿題。ママが仕事で家にいないのだから、日本語とは全く無縁のフランスで、一人で日本語の宿題ができるはずがない。それなのに、あの夜は随分と叱ってしまっていた。

あれからパパがいなくなり、私に心の余裕が更になくなると、もう子供の勉強など見てやることもできなくなっていた。元気でさえいてくれればいい。それが一番。そう本気で強く願っていた。

そして、本当にありがたいことに、バッタ達は三人とも元気で、明るい子達に育った。ただ、学年が上になると、「元気でさえあれば」と言っていたことを後悔し、やはり将来の選択肢を広げるためには、勉学にも力を入れねばならなかったと思ったもの。フランスの学校は日本のように競争社会ではないように一見思われるが、実は水面下で選抜はしたたかに行われている。そんなことにも気が付かずに、生きることに必死だった日々。

大好きなダンスは、ママが送り迎えしてあげられないので、お友達の家族に随分お世話になった。甘えることを当たり前と思ってしまっていた時期。そのお友達から、車で送迎してあげているんだから、おやつぐらい持ってくるのが当然よ、あなたのママは仕事ばかりしてお金をかせぐことしか考えないのよね、と言われていたことを他の方から聞いて仰天したこと。だからスーパーで、遠慮がちに、ビスケットを買って欲しいとねだったのか、と愕然とする。ママを守るためだったのか、或いは、そんなこと言えなかったのか、長女バッタは今でもあの時のことを語らないし、私も敢えて聞いていない。

それからは、自分でバスや徒歩で通ってもらうことをお稽古の条件にする。息子バッタも、末娘バッタも。

末娘バッタが確か小学三年の時に、バスに乗り間違えて、終点で泣いてしまったらしい。運転手さんが良い人で、君が泣くとボクも泣くよ、と言ってなぐさめ、警察を呼んでくれた。そして、その警察も良い人で、親を叱る前に、泣いている末娘バッタをダンスの教室まで連れて行ってくれた。背の高い二人の警察官に挟まれ、末娘バッタは小さな体をもっと小さくして歩いたという。あの時も、ママに電話がないかって心配した、と言っていたっけ。


親として子供達を守る以上に、子供達から守られていたのか。

中国での一年間でママに会いと思ったことが二回あったよ。一回目はイギリスの大学から不合格通知を受けとった時、二回目は風邪がひどくて起き上がることができなかった時。

二回しかなかったのか。いや、二回もあって光栄なのか。しかし、なんと逞しくなったのか。


到着した当日は、学校の寮が未だ開いていないので、ホテルに一泊するらしい。ホテルの予約をネットでしていた長女バッタ。自分のクレジットカードの確認の電話番号登録ができていないからと、ちゃっかりと私のクレジットカードを使ってよいかと聞いてくる。頭金10ユーロ。ノーショーなら、全額払うのだろうか。


夕食のリクエストはカレーライス。確か中国に行く時も、カレーライスをリクエストされたっけ。嬉しいような、はぐらかされたような。カレーライスなんて、ちっともママの腕を振るう料理ではない。まあ、いいか。


それよりも、フィリピンからこっそりとスーツケースに入れて持ってきたグリーンマンゴでフレッシュジュースを作ってあげよう。カラマンシーもたっぷりと入れて。

小さめの5個すべてをミキサーに入れる。カラマンシーも種を入れないように潰してオレンジの汁を入れる。濃厚で綺麗な黄金のドリンクができあがる。

鮮やかな色合いに心躍り、一口含めば、爽やかな甘酸っぱさが軽やかに口中に広がる。

長女バッタの船出に、ぴったりじゃあないか。

さあ、乾杯。
元気でね。これからも自分の手で新しい道を切り拓いていくんだよ。
いつだって応援しているから。

君の歩く道に幸多かれ!










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