唯一の光を発するバスから吐き出され、
夜道を急ぐ。
林は暗闇をもたらすだけ。
太陽の下では、のびやかな小枝も
人を寄せ付けない凄みを持って迫ってくる。
ちらりと黄色い貼り絵のようなぺったりとした月が木々の間から垣間見える。
早足になればなる程、
月は姿を現したり、隠れたりする。
今夜は、
何を悩んでいるんだよ、と笑ってくれるのだろうか。
辛いことがあっても、思い詰めるなよ、と
呑気な調子で慰めてくれるのか。
丘に差し掛かるところで、立ち止まって見仰ぐ。
のっぺりとした月は、
笑うでもなく、小ばかにするでもなく、
つんと澄ますでもなく、
そこに在る。
そこに在ること自体に意義があるかのように。
誤魔化さずに、現実を直視しろ、といったところか。
もっと、もっと強くならねば。
そうして、もっと、もっと賢くならねば。
さあ、頑張らねば。
深呼吸をして、再び歩き出す。
深い暗闇の中を。
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