目覚まし音の前に目覚める。
窓の外がぼんやりと白んでいるが、夜の帳は下がったまま。体内時計が未だ夏時間の名残をとどめているのか、或いは、緊張感からか。
このところ、ぼんやりする時間どころか、寝る時間もままならない日々。
おっと、バスが行ってしまう。急がねば。
先ずは、末娘バッタの部屋に入り、足の指をそっと握る。
かすかな反応。「いってらっしゃい。」寝ぼけ声が聞こえる。
次に、息子バッタの部屋に入る。
足元を軽く叩く。「お誕生おめでとう」
暗闇の中から両腕が伸びる。
一瞬躊躇する。が、すぐに声が出る。「ごめん。ママ、もう行かないと、バスに乗り遅れちゃう。」
バス停までの坂道を駆け上がりながら、16歳になった息子バッタを思う。
母親として誕生日にしてあげられることは、こうして精一杯生きている姿を見せることだけ。
感傷的になりそうな自分を抑え、未だ明けることのない空を仰ぐ。
ひんやりとした空気が甘い。
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