夢の世界を彷徨うバッタ達がいるからか、寝起きで身体が未だ軟らかで温かな布団のぬくもりを纏っているからか、或いは、何も考えずにひたすら猛スピードで朝の準備をするからか、玄関のチョコレート色をした扉を開けて外に出ると、余りの別世界に息を呑む。
暗がりの中で歩を進める度に、ひっそりと薔薇の香りと、かすかなラベンダーの香りが、しっとりとした夜の香りに混じり感じられる。見上げると、突き刺さる程の白さで笑いかけてくる月と目が合う。ここでは、月は白。もう何年も見慣れた筈なのに、初めてのことの様に驚く。
オレンジの街灯の下でぽっかりと浮かんでいるペンギンシルバーに身を滑り込ませる。4本あるうちの1本のインジェクタを新品にしたからか、エンジンの掛かりは最高で、軽やかに歌っている様にさえ思われる。車に載せているスパイシーオレンジの香りが心地よい。
未踏の地を進む冒険者の様なちょっとした興奮を感じながら、夜の帳が開け切っていない通りを走り出す。。。
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