2013年9月19日木曜日

目を閉じれば




立ち寄ったハイパーは
ワイン祭りの最中。
エントランスの特売品売場がすべてワインのボトルに占められている。

美味しいワインとは。
外れないワインの選び方とは。

「値段だよ。」と教えられたことがある。
高いワインは外れない、と。

そんな程度でしか知らない世界。
そう、ずっと思っていた。

ずらりと並ぶワインを眺めつつ、
時々、久しぶりの旧友に出会ったような思いでボトルを手に取る。
様々な思い出が鮮やかに蘇ってくる。

新たな思い出を作りたくて、
ワインを一本選ぶ。

急に声が聞きたくなる。

忙しい時はそっとしておかなくちゃいけない。
分かっているのに、
忙しいからこそ会えない時間が目の前に積まれてゆき、
その重みを感じたら最後、
泣きたい思いが溢れ出てしまう。

二回目のコールで留守電メッセージが聞こえてくる。
懐かしい声を耳にしながら、
声だけでも聞きたい、なんてことは、嘘だなと思ってしまう。

会いたい。

せめて十五夜の月を見ようと外に出てみると、
粉砂糖のような雨が降り注いでいる。
東の空は灰色の暗闇に追いやられている。

目を閉じれば、
夜空に銀色に煌めく大きな丸い月。
そう、目を閉じれば、
銀色の狼が優しく微笑んでいる。



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