いつの頃からか、鳥たちの鳴き声で、
実の熟し具合が手に取るように分かるようになってきている。
そして、今こそ収穫時と確信さえできてしまう。
今年は黄金の粒、ミラベルが不作。
昨年は、離れの屋根の上に登って、甘ったるい香りの中で、
ぱつんぱつんの実を何十キロと収獲し、
リキュールから、シロップ漬け、ヴィネガー漬け、ジャム、と沢山の瓶を作り、
カーブに保存。
一方で、昨年はちっとも実がならなかったクエッチが、
今年は枝が折れんばかりに大きな粒が鈴なりに。
ところが、7月になっても、8月になっても、
実は固く、渋いまま。
色合いも、今一つ。
9月に入り、
雨が降るたびに秋の足音が近づき、
朝夕冷え込むようになり、
頻繁に冷たい雨が降りしきる日が続くと、
なんだか、このまま冬に突入しそうで、
クエッチは熟さずに、その実を落としてしまうのかとさえ疑われた。
が、
ある晩、
鳥たちが余りに喧しい。
しかも、尋常ではない騒ぎよう。
時の訪れを悟る。
こうして、
曇りがちな空の下、試しに濃厚な赤紫の実を手にしてみる。
ぱつんとした重みが心地よい。
一口齧ると、爽やかなジュースがほとばしる。
大急ぎでボールを取ってきて、
手元の実から収獲。
気が付くと、梯子の上で背伸びをしながら奮闘している我が身。
どうして、ここまで熱中してしまうのか。
全く放置しているだけの我が家の庭にある木から、
こんなに美味しい実が得られる信じられない喜びを噛みしめ、
太陽と大地に感謝してもしきれない思いで、
全てを収穫しないと、申し訳ないとの思いで溢れんばかり。
この神聖なる儀式にも近い思いを
バッタ達と共有できないことを残念に思うも、
そこに悲しみを見出す以上に、張り切って梯子によじ登って、
ふらふらとしながらも両手を使って収獲に勤しむ我が身。
15キロ近くの収穫となる。
さて、先ずはタルト。
甘酸っぱい香りがオーブンから流れ出し、
そこにトンカ豆の高貴な香りを見出し、
にんまりとしてしまう。
収獲の喜びは、何ものにも代えがたし。
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