翌朝も、何かに呼ばれたかのように目覚め、跳ね起きて窓の外を覗く。夜遅くまで見続けていた天空にあった量感のある雲は姿を消していた。マッターホルンの山頂からは、丁度煙突から煙が出ているような雲が流れていた。そして、朝の神秘的なショーが始まった。
黄金色に光り輝く山頂が刻々と色を変えていく様をじっと見守り続けた。
母はといえば、ふっくらと腫れた鼻に、眼鏡が食い込んでいる様子が痛々しく、下唇も大きく膨らんでしまっていた。しかし、どうやら左手の痺れはとれ、ゆっくりと動かす分には問題がないことが分かり、ほっとした。
ツェルマットでまるまる一日使える二日目、そして最後の日でもあった。お天気はどうやらお昼頃から崩れる模様。ガイドブックや近辺地図を睨みながら、前日の夜に、無理のないように、それでも悔いの残らないようなルートを選んでいた。マッターホルンの姿を眺めながら幸せの溜息をつく母に、恐る恐る提案してみる。
ホテルのあるリッフェルアルプ(Riffelalp)からグリュンゼー(Grünsee)まで行き、モシュゼー(Moosjisee)、ライゼー(Leisee)を通り、スネガ(Sunnegga)まで歩くルートだった。ロートホルン(Rothorn)までのロープウエイは現在点検中らしく運休だったので、スネガからはツェルマット村まで降りてくる。そんな半日のコース。
母は、腕や手に問題がないことを確かめつつも、賛成してくれた。
旅は道連れ世は情け。
さあ、弥次喜多ならぬ母娘道中記。フランスの我が家を出てから、未だ、いや、もう4日が経っていた。
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皆さんからのコメント楽しみにしています
御母上 散策の提案に賛成できるほどの怪我の回復に安堵しました。
返信削除マッターホルン 荘厳な美しさに 魅かれますね ♪
神々しいばかりです。
ログの大好きな徳さん、
返信削除お優しいコメント、ありがとうございます。
正にマッターホルンの荘厳な美しさ、そして神々しさに癒されました。