ぽかぽかの小春日和の日だったよ。のんびりといつもの定期検診に歩いて行ったら、診察してくれた看護婦さんに、通りで産むつもりだったのかと怒られたっけ。そう、貴女はのんびりと、それでいて着実に、ママのお腹から順調に出てきてくれた。
ちっとも手のかからない赤ちゃんで、いつでも良く寝てくれていた。4つ上のお姉ちゃんと、2つ上のお兄ちゃんがにぎやかで、彼らと大騒ぎをしている時は、貴女が大人しく寝てくれていることに、とても感謝していたけど、一歳の誕生日を迎えても一向に歩く様子を見せないので、それはそれで心配もしたもの。
貴女が一歳半の頃、日本からマミーが来てくれて随分と貴女と遊んでくれたっけ。マミーが帰ったその日に、突然サロンをだっと走り出した時には、ママは本当にびっくりしたのよ。
あの頃は二歳になった貴女のお兄ちゃんがやんちゃで、とにかく大変だったの。だから、ママはいつでもお兄ちゃんの名前を呼んで怒ってばかりいたっけ。だからなのか、貴女が初めて発した言葉は、お兄ちゃんの名前だったのよ。驚きよね。
その割には、大好きなミルク、大好きなご飯、大好きなヨーグルトは全て「白いの」で済ませていたのよ。言葉の詳細にこだわるお兄ちゃんとは正反対で、集合体の名称で呼ぶのだから、面白いよね。ちゃんと色を識別し、同じグループにいれていることには、感心してしまうけれど。他にも、集合体の名称を使っていたけど、それが何であったか、もう忘れてしまったわ。
本当に貴女はびっくり玉手箱だった。一人の世界を楽しむタイプで、鏡に向かって何時間でもおしゃべりをしていることがあったり、みんなでおしゃべりをしている時に、一人だけ違う世界にいる様子だったりしたのよ。
フランスで生まれて、フランスで育って、フランスの学校に通うっているのに、何故かフランス語に対して外国人のように接していたよね。敏感にママの様子を察知して、ママと同じになりたかったのかな。貴女はそういう意味では精神面で本当に努力した。
毎年夏に行っていた日本の学校では、いつもたくさんの友達が出来て、お手紙をもらってきてはママをびっくりさせた。我が家では一番のべべだったのに、いつの間にか学校では大勢のお友達が貴女を頼りにし、気が付いたら毎年級長を務めていたよね。フランスの学校の級長はクラスメートの成績会議にも出席するのだから、びっくりしてしまう。成績会議の日には遅くに帰って来て、それから遅くまでクラスメートに電話を掛けたり、相談に乗ってあげていたっけね。
貴女にとって、仲間が重要になってきて、仲間と過ごす時間が増えていった。週末やバカンスになると、勉強している以外は、常に外に飛び出して仲間たちと会う。
ママは本当に二年前には分からなかったけれど、貴女のおかげで今はちゃんと分かることができた。外に飛び出して行く子供たちが、ちょっとした時、帰ることができる場所こそが家庭であり、家族なんだよね。
世界地図を片手に、どこにでも簡単に行ける時代ではなくなってしまった今、ママは貴女たちがいつでも帰ることができる場所にいることにしたよ。それが親の務めだと思うし、そうすることはママの幸せでもある。
そんな大切なことに気が付かせてくれた貴女に、ママは感謝の言葉しかない。これから益々勉強に勤しみ、自分の魅力をどんどん高めていって欲しい。今、そうできる土俵に漸く立った貴女は、自信に溢れて、快活で、眩しい程に輝いているよ。
20歳のお誕生日おめでとう。
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