2022年3月31日木曜日

花びらかと思えば雹

 





今年は暖冬で、あっという間に春になり、さくらんぼが満開になったと思ったら、リラまで蕾をつけ始めているので慌ててしまった。大切な牡丹の蕾も大きくなっていて、そんなに急がないでおくれよ、と声を掛けたが聞いてくれたかどうか。


さくらんぼの花びらがひらひらと舞い降りてきたのかと思ったら、霰。冷え込みが厳しいと思っていたが、この時期にまさかの雪の予報が出ている。


せっかくのさくらんぼが満開の時期なのに!いっそ、瞬間冷凍となったらどうだろうか。もう少しだけ、淡い甘やかな香りを楽しんでいたい。


トンカは庭が大好きだし、散歩も大喜びなのに、一人で外にいる習慣がないせいか、どんな時にも一緒にいて欲しがる。せっかくなのだから、少し一人で遊んでくればいいのに、私が家に戻ると一緒に戻ってきてしまう。それでいて外での遊びが足りないと、家中を突風のように駆け回り、こちらを慌てさせる。どこにもぶつからずに、猛スピードで駆け回ることができるのは、本能のなせる業なのだろうか。いや、どこかにぶつかって凄いケガをするか、照明が倒されるか、植木がめちゃくちゃにされるか、時間の問題かもしれない。


だから寒さに凍えながらも、できるだけトンカが外で遊べるようにと、トンカが嬉しそうに凍てついた草原の上にしゃがみこんだり、茂みに鼻を突っ込んだりしている様子をぼんやりと見ていることにしている。


できるだけ外に連れて行ってあげるから、お願いだから、我が家のパイナップルやアボカドの植木鉢にいたずらをしないでくれないかしら。絨毯を齧るのもやめてね。ね、とんちゃん。



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2022年3月29日火曜日

川遊び

 





トンカと散歩をしていると、驚く程気軽に色んな人々と会話ができてしまう。子犬の可愛らしさによるものなのか、トンカが可愛いからなのか、これまでは黙々と森の中を散策し、森林浴を楽しんでいたのだが、今では多くの人々との交流を楽しんでいる。新しい扉が開けた感があり、丁度長女バッタが生まれて、彼女を散歩させている時に感じた思いと共通するものがある。


トンカにとっても、これまで我が家の庭だけが全世界だったところ、森に散歩に行くことで大きく世界が広がった。一番の収穫は仲間との出会いではなかろうか。犬同士がこんなに楽しく走り回ったり、じゃれ合ったりするものだとは、考えてもみなかった。トンカの成長にとり、非常に重要であることは見ていて頷けるし、何より本当に楽しそうなのだから、こちらも嬉しくなる。


先日も小川で二匹のオーストラリアンシェパードが楽しそうにじゃれ合っていた。彼らの勢いといったら豪快で、怒涛のように絡み合い、水の中に入っては出て、ぶるぶると体を震わせて辺り一面に水飛沫を飛ばしていた。ちょいと喉が渇いたトンカが土手の低い場所で、小川の水をちょろちょろと舐めているのとは訳が違う。若干恨めしそうに小川を眺めつつ歩いていたトンカの存在に気が付いたか、気が付かないか。ものすごい勢いでやってきた二匹のオーストラリアンシェパードが、トンカをどんと土手から突き落とす格好になってしまった。


さあ、どうするトンカ。この機会に川遊びを覚えて、我が家でもシャワーを楽しむようになれば良いのに、と思う反面、どでかいオーストラリアンシェパードを前にちび助トンカがいつになく小さく思われ、心配でもあった。


オーストラリアンシェパードも、トンカが土手から突き落とされてしまったことに気が付き、大いに戸惑っているようだった。彼らがあと一突きするだけで、トンカは小川に転がり落ちるところだったが、トンカが困っていることに気が付いたのか、急に大人しくなってしまった。彼らの勢いが静まった様子を見て、トンカが勢いをつけて土手の上に上がってきて、一件落着。


追いついたオーストラリアンシェパードの飼い主さんから、トンカまで煮干しをご馳走になってしまうおまけ付き。


色々な犬たちを見ながら、成長したトンカを思い描く。なんだか、その辺は子育てと一緒。この夏には、小川で水遊びを仲間たちと楽しんでいるトンカを遠くから見守ることができるだろうか。夢は膨らむ。


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2022年3月26日土曜日

熱き視線

 





かつて誰かにこんなにもじっと、しかも熱く、恋焦がれるかのように見つめられたことがあっただろうか。


仕事の手を休めた時、食事の最中、ぼんやりとしている時、気が付くとトンカがじっとこちらを見つめている。一挙手一投足、何も漏らさないかの如き覚悟を持って。案の定ちょっとでも席を立つと、すっと駆け寄ってくる。


トンカが隣に来ていることに気が付かずに、何度トンカの頭を、手を、脚を蹴っただろう。手で叩いてしまっただろう。踏んでしまったこともある。それでも、すっと音もなく隣にぴたっとついてくる。


嗚呼、トンカよ。君のその熱き期待にどこまで応じることができるだろうか。



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2022年3月25日金曜日

広がる心と深まる愛

 





熱い鼻息を膝に感じながら、ずっしりとしてきた重みを愛しく思う。人間の赤ちゃんと一緒で、寝ている時は正体不明。手を持ちあげられようが、足を引っ張られようが、一向に我関せずで寝入っている。この際、耳も引っ張ってしまう。


トンカの存在は、会う前から既に心の一部を占めてしまっていたが、だからといって他の存在の占める大きさが少なくなるわけではない。これは子供の存在と一緒。その秘密を悟った時の歓喜といったら!


だからということでもないが、このところサムのことを思う。幼い時に飼っていたコリー犬のサム。長い鼻を上手に使って、ガラス窓を開けてリビングに入ってしまう利口者。車で出かける時には、塀に飛び上がって見送ってくれる。ヨーグルトが大好きで、車が苦手。散歩が大好きで、ブラッシングが苦手。甘えん坊のサム。いつだって、耳をぺたんとして喜んで迎えてくれた。


それでも、いつだって一緒だったわけではない。都合の良い時にだけ、散歩をし、おやつのヨーグルトのお裾分けをし、嫌がるブラッシングをした。なんて我儘な、一方的な接し方だったんだろう。


トンカへの愛が深まる度に、サムへの愛も深まる。


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2022年3月22日火曜日

ロマランとガーリック風味のフォカッチャ

 





我が家の庭には長女バッタが植えたハーブが青々と育っている。ロマラン(ローズマリー)、タイム、ヴェルヴェンヌ。室内ではバジル、コリアンダーが瑞々しく育っている。フレッシュなハーブを使っての料理は作っていて本当に楽しい。


春の暖かな日差しを浴びながら、フォカッチャを焼こうかな、と思い立つ。先日、友人がアルプスのお土産として、手作りソーセージを買って来てくれていた。そのお礼に、アペリティフにぴったりの、熱々のフォカッチャを焼いて差し上げよう。庭のロマランを味付けとして使ったらどうだろう。


トンカがいるので、簡単に友人を我が家に招待することは未だ難しいし、トンカを置いて、どこかに遊びに行くのも難しい。


ぬる湯にオリーブオイルを混ぜ、イースト菌と一振りのキビ砂糖を混ぜる。それを小麦粉と一振りの粗塩に入れ、しっかりと混ぜて、10分ぐらい捏ねる。最初はべちゃべちゃだった生地が、どんどんと伸びが良くなり、生地が生き生きとしてくる。オーブンに40℃で40分程度寝かせるところ、シンクにお湯を溜めて生地の入ったボールを置いて発酵させることにする。


40分後、ボールの中で生地はふっくらと膨らんでくれた。さあ、次はトレイにベーキングペーパーを敷いて、生地を入れ、指で生地に幾つもくぼみを作り、削ったニンニクをふりかける。オリーブオイルとたっぷりとかけ、ドライのミックスハーブをふりかけ、庭から採って来たフレッシュなロマランの葉をたっぷりとまぶし、粗塩を振りかける。


改めてシンクにお湯を溜めて、生地の入ったトレイを置いて、二次発酵させる。30分程度寝かせた後で、180℃のオーブンで30分程度焼き上げる。


暫くすると、オーブンからこんがりとしたニンニクとハーブの香ばしい、食欲をかきたてる美味しそうな香りが流れ出てくる。どうも二次発酵が足りなかったのか、膨らみに若干欠けているようだが、香りの良さは抜群だし、味も問題ないに違いない。熱々のところをざくざくと切り、さっそく友人宅に届けに行く。ほんのご近所さんなので、トンカを散歩がてら一緒に連れて行こうかと思うが、まだまだ無理だろうな、と今回は断念する。いつかトンカも連れて出掛けることができたらな、とうきうきとした気持ちを抱えながら、友人の笑顔が目に浮かぶ。



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2022年3月20日日曜日

新たな出会い

 






師匠から声が掛かったのは森デビューを果たしたことを報告してすぐのこと。週末に森に行くようなら、是非一緒に行きましょう、と。朝9時半に車で迎えに来てくれると言うので、飛び上がる程喜んだのは言うまでもない。


当日、9時からトンカと外に出てウォーミングアップ。首輪も意外にすんなりとつけることが出来てほっとする。水筒、タオル、ウェットティッシュ、ビニル袋、そして、煮干しを用意する。9時半かっきりに、我が家の通りにピタリと車が停まった。いそいそとリースをつけて、さあ行こうとトンカに声を掛けても動こうともしない。困ったな、と思っている時に、車から友人が降りたって、トンカ!と声を掛けてくれる。


魔術師。


トンカは声を聞くなり、大喜びで通りに出て行こうとする。すごいなあ。トンカと二人で助手席に乗ると、後部座席には大型のプードルのハクとこれまた小型のチワワのサスケが歓待してくれる。トンカは初めての友達に戸惑いを見せつつも、嬉しそう。


友人は、本当に慎重で丁寧な運転をして、我々を森の入り口まで連れて行ってくれる。さあ、トンカ。ハクとサスケと一緒に森に行こう!


驚いたことに、犬たちは最初こそ3匹でくるくると回っていたが、ちゃんと師匠というか、魔術師の友人の後に従い森の中に入っていく。3匹とも、本当に嬉しそう。じゃれ合いながらも、ハクは仲間の長としての威厳を持って、野太い声で叱ったり、喜んだりしている。サスケは皆の間をちょこちょこ、ちょこちょこ行ったり来たり。すごいパワー。トンカが仲間たちにすぐに溶け込んでしまっていることに、あっけにとられてしまった。


暫く行くと、シェルティに出会う。友人は、あら、ジャック、おはよう、と声を掛ける。驚いたことに、友人はそこの森で散策する犬たちをほぼ全て把握していて、名前、犬種、年まで知っている。やはり、彼女は魔術師だった。


ジョギングしている人が通ると、犬たちは喜んでついて行こうとしたり、嬉しがって飛び上がって挨拶をしようとする。そこを上手に押し留め、走行者を先に行ってもらうように伝える。そんな時、しっかりとトンカの首輪を手にする彼女を見て、なるほど、こうするのか、と学ぶ。


自転車が実は大いに曲者。トンカなんて、何度自転車の後をついて行こうとしたか。動いている物に対して、本能で追いかけてしまう。追いかける分には、戻ってきさえすれば、百歩譲って良しとするが、何せ真っすぐに走らずに、自転車の前を横切ってしまうから困りもの。サイクリストのムッシューなど親切にスピードを緩めて、「こいぬだね。可愛いね。自転車を追いかけないようにちゃんと教えてあげてね。僕なんか、この間追いかけて来た犬と一緒に走行して、あっという間にその犬が前に来て、轢いてしまったんだ。そんな事故に合わないようにね。」と、忠告をしてくれた。


それから、ラブラドール、ゴールデン、コリー、スパニエル、色んな犬と、飼い主たちに出会った。犬に優しいランナーもいたし、犬何て迷惑ね、と態度で示すランナーもいた。森は出会いの宝庫。


これまで、何度森を散歩しただろうか。それなのに、この日はいつもの森が違った森に見えたのだから不思議なもの。


一時間は歩いただろうか。後半、トンカが鼻を鳴らし始めたので、早めに切り上げることに。トンカにとっては、先が見えないことへの不安があったのだろうか。特にへこたれた様子ではなく、足並みはしっかり、時々1メートルほどの垂直ジャンプをして友人や私を驚かせてくれたりもした。


帰りの車で、私の腕の中で眠り込んでしまったのには笑ってしまった。これでは、まるで子供と一緒ではないか。いや、同じなのか。友人、ハク、そしてサスケと、また是非一緒に森に行こうと約束をして別れる。


トンカ、楽しかったね。仲間って、こんなに良いものなんだよね。そうだったのか。犬も仲間が必要なのか。世界がぱっと明るく広がる。


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2022年3月19日土曜日

向こう見ずな魔のジャンプ

 






猫は木にも登るし、屋根で日向ぼっこなんてお茶の子さいさいだってことは、知っていた。実際にこの間も夜中にトンカとがっちゃんこし、さくらんぼの木の高い幹の上まで登って行った猫を見たばかり。


しかし、犬もすばしっこくて、猫のような動きをするとは知らなかった。子犬だからだろうか。


トンカはちょっとしたドアの隙間から外に走り出てしまうのは日常茶飯事で、通常は閉まっている玄関ホールへのドアも、週末にバッタ達が帰ってくると誰かは必ずと言っていい程ちゃんと閉めないことがあるので、開かずの間の扉を抜け出てしまうことがある。この間は瞬く間に二階まで突っ走ってしまい、その瞬発力に驚いてしまった。


息子バッタが帰って来た晩、相変わらず開かずの間の扉を抜け出て、一階のベッドの下に入り込んで出てこないので、大騒ぎせずに放っておいて、リビングに戻ってみた。しばらくすれば、にぎやかなリビングに戻ってくるだろうと踏んだのだが、どうしたことかちっとも戻ってこない。しかも、音や気配さえもしなくなってしまった。


どこで何をしているのか、心配になって玄関ホールに出てみると、なんと!二階に向かう階段の一番上から、こちらをのぞき込むいたずらっ子の茶目っ気たっぷりの顔を発見。ちょっと待ってよ。ただでさえ滑りやすい石のフローリングの階段。トンカの足では滑ってしまいかねない。しかも急勾配。行きは良い良い、帰りは恐い、の典型例。迎えに行って、抱っこして降ろすしかあるまい、と、そこまで思考が巡ったかどうか。


あっという間に、トンカは私目がけてまさかのジャンプ。情けないことに、私は凍り付いてしまった。ぱしゅっと着地した、というよりも、頭もがんっとぶつけた様に見えた。トンカの体が打ち砕かれて木端微塵になるのではないか、との恐怖で、気が付いたら悲鳴を上げていた。私の悲鳴を聞いてか、自分のした行為に驚いたのか、はたまた、本当に痛かったのか、トンかは2度ほど、きゃひん、きゃひん、と泣いた。


息子バッタが慌てて飛んできて、ママ、どうしたの、と私を気遣う。いや、ママじゃなくて、トンカよ!泣き崩れんばかりの私に、トンカが飛びこんできて顔をべろべろと舐めてくれる。無事だったの?階段の高さは優に2メートル半はあるだろう。そこから飛び降りて無事って、奇跡ではないか。それとも、キミは、やっぱりチーターの血を引いているのか。


嗚呼。神様、仏様。トンカをお守りいただき、ありがとうございます。これに懲りてトンカが開かずの間の扉の隙間をすばしっこく抜けて魔界に出たとしても、二階にだけは行かないようになると良いが、どうだろうか。そして、ゆめゆめ飛び降りジャンプなんてしないで欲しい。果たして、学習してくれただろうか。度胸が良いというのか、肝が据わっていると言うのか、いやいや、向こう見ず、ということだろう。


トンカよ。我が相棒よ。我々には、これからアルプスの山々に行ったり、ノルマンディーの海岸を走ったり、海辺で朝日を拝んだりする楽しい冒険が待っている。お互い、健康体でいようよね。



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