お友達をたくさん呼んでパーティをしたいと言っていた末娘バッタ。
末っ子の割に物分かりが良く、
強引なお願いができないタイプ。
だから、彼女のお願いは、お願いというより、遠慮がちで、
だったらいいけど、駄目だよね、といった風に終わってしまい、
こちらも、本気で受けていたら大変だと、
流してしまっている。
ちゃんと目を見て言ってあげればよかった。
ごめんね、ママは今、お友達を迎える心持ちになれない、と。
そのうちに、胸を張って生きていくスタイルに戻ったら、
いつだって呼んでいいよ、って。
その日は土曜だったので、
ランチに大好物の鰻の蒲焼にする。
久々の香ばしいタレの香りがキッチンを満たす。
ふっくらの炊き立てご飯にのせて、
いただきます。
夕食は、リクエストでチーズフォンデュ。
適当に美味しそうなチーズを選び、
抜群に美味しいと思っている白ワインを、ついつい数本購入してしまう。
デザートはサプライズにして欲しいとのこと。
ガンガンに冷房が効いているスーパーで、
外も例年並みの寒さ。
ゼリーやムース、アイスクリームは凍えてしまうよ、と長女バッタ。
そこで、本当に久しぶりにパイ生地を作り、
白焼きしたところに、バナナを二本、薄切りにしたものを敷き詰め、
小麦粉を使わない、卵とバター、チョコレートの生地をとっぷりとかける。
アーモンドのスライスを飾りに散らし、オーブンで25分。
いつもと違ったチョコレートケーキに、末娘バッタのまん丸い目は一層大きくなる。
アルコールを飛ばすとはいえ、これだけのワインと、ミラベル酒を入れて、
一体子供たちに悪影響はないものか、と心配してしまう。
友達に呼ばれて出かけて行った長女バッタから、
実はディナのお呼ばれで、帰りは遅くなる、末娘バッタには悪いことをした、
ごめんね、
とSMSが入る。
それを告げると、一瞬、末娘バッタの体が固まる。
でも、すぐに、
あら、それなら、チーズフォンデュがたっぷり食べられるよね、と返事が返ってくる。
私が思っている以上に、彼女にとって、誕生日とは意味合いが深いのかもしれない。
熱々のチーズフォンデュは最高に美味しく、
皆、頬を真っ赤にして、おしゃべりも楽しく、あっという間にパンがなくなっていく。
お腹が一杯になったから、先ずはビデオを観て、その後でケーキにしよう、となる。
リオが舞台のビデオを観ながら、こちらは、うとうととしてしまうが、気が付くと、もう長女バッタを迎えに行く時間。そして、他の子達は、ベッドに行く時間。
それでも、長女バッタの帰りを待っていると言う。
皆でケーキを食べようと言う。
そうか。
友人一人を送っているからか、そう遠回りした訳でもないのに、どんなにすっ飛ばしても、帰ってきた時刻は、もう翌日に差し掛かるころ。
二人はちゃんと待っていて、驚いたことに、息子バッタは宿題なんかしていた。
そうして、皆でチョコケーキをいただく。
こうして書きながら、それでも、歌も歌わなかったし、ロウソクも立てなかったことに思い至る。写真も撮っていない。
フォンデュでお腹は満ち足りており、一旦うとうとしてしまった身体はベッドを求めていた。
ああ、末娘バッタよ。
お誕生日おめでとう。
もう一度、これから、しっかりと抱きしめてあげよう。
そう、彼女がこの世に登場した、あの日のことを詳しく教えてあげよう。
どんなにママが嬉しかったか、伝えてあげよう。
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