ふいにドアが開いて、夕方を伴って助手席に滑り込んでくる。
簡単な挨拶が思わず長引く。
「混んでいるから。。。」
ラッシュアワーのことを指しているのか、通りの人混みのことを指しているのか。
車を発進させ、流れに乗る。
何週間ぶりだろう。あれも、これもと話題が飛び出て、遂に核心の懸念事項に達する。
思わず興奮し、立て板に水の如く早口の大声で自分の見解を主張し、今の状況の異様さを訴える。ところどころで、「うん、分かってるよ。ちょっと待って。」と止められ、別の視点からの解説を受ける。がんがんと話をしているうちに、落ち着きを取り戻し、解決法が見つかり始めたことに気が付く。
思い詰めていた怒りや興奮がすっかりと心から締め出され、代わりに充実と満足感で満たされる。
どこをどう走ったのかも分からず夢中だった瞳は、慌てて現在の場所を把握し、漸く助手席の横顔と運転に集中し、右手はシフトレバーから離れ、ぬくもりを求める。
街路灯には星屑のイルミネーション。
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