2021年8月13日金曜日

血の滴る桃

 





250年前、ワインの産地コートドュリヨネの葡萄畑でうどんこ病が流行り、生産農家は大いに困り果てていたという。対策として、うどんこ病に非常に敏感な桃の木を葡萄畑の中に植えたそうな。いち早く桃の木がうどんこ病を発症するや、農家は葡萄畑全体にうどんこ病対策をすることで、葡萄畑はうどんこ病の被害から免れたとか。


救世主の桃の木。その桃の木の実が非常に特殊で、皮の色は赤黒い程に濃厚。実は大変ジューシーながらも、皮から赤黒い色が染みこんだように、表面から3分の1程は赤紫。種に近づくに従い白さが残っている。その色合いから、血の桃との異名もついている。


おどろおどろしいので、カタカナで、ペッシュサンギンヌ。


ネクタリンならぬネクタヴィンヌとの名称が商標登録されている。


香り高く、程よい甘さ。


我が家では果物や完熟前のアボカドは食卓に並べている。パイナップルの甘い香りや、メロンが香り出すと、そろそろ食べごろかなとなる。


このネクタヴィンヌ、一つながらも部屋中を甘い香りで包み込んでしまう。葡萄畑の真ん中で、健気に、いや、威勢よく、誇り高く堂々と血の滴るような色の実をつけている姿が目に浮かぶ。


やはり、ペッシュサンギンヌとの呼称の方が似合っていようか。


いや、血の滴る桃がいい。今日も一つ、たっぷりの甘い汁をいただこう。



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