今年はベリーが当たり年。
特に棘のある枝でぐんぐんと成長するブラックベリーが庭の隅で威勢を張っている。
パリに来た時からの恩人であり敬愛してやまない友人と一緒に、彼女のこれまた留学時代からの友人のアパートに遊びに行くことになる。彼が水質にこだわり、自宅に浄水装置をつけていると聞いて、どうしても見たくなってしまったことがきっかけ。
お土産にベリーのデザートを持っていこうと思い立ち、ベリーを使った様々なお菓子に思いを巡らす。
ベリーを生地に入れて焼き上げたお菓子、スコーン、クラフティ、カステラ系。或いは、ベリーを飾りにたっぷり使ったお菓子、パプロバ、シフォンケーキ系。或いは、ベリーを散りばめたままゼラチンで冷たくして固めたお菓子、ババロア、パンナコッタ、ゼリー、ブランマンジェ系。
夏らしく、冷やし固めたお菓子にしようか。アーモンドの香りが添えられたブランマンジェにしよう。
アーモンドスライスを炒め始めると香ばしさでキッチンがぱっと明るくなる。温めた牛乳に入れて小一時間、アーモンドの香りを移す。アンフュージョンと言うとしっくりくるが、煎じるというと、どうも煎じ薬の癖のある滋養たっぷりの香りが鼻についてしまっていけない。これもプルーストのマドレーヌ効果か。
甘さは控えめにしたアーモンドの香りがほのかにするミルクに、ふやかした板ゼリーを溶かし込み、半分以下の量の生クリームを静かに混ぜあわせる。そうして、庭から採り立ての新鮮なベリーを惜しみなくふんだんに入れた器に、とぽとぽとぽと注ぎ入れる。
彩りについて悩み、ここはブラックベリー一つに統一すべきかとも思うが、華やかさを演出したくて、マルシェで仕入れたラズベリー、グロゼイユも使ってしまう。
器の半分で一旦冷蔵庫に入れて固め、小半時間後にぷるぷるしているところに、改めてベリーを入れる。せっかくだから、ラズベリーの赤が見えやすいように器に沿って張り付ける。
そして、とぽとぽとブランマンジェの生地を注ぐ。
3回ほど繰り返し、後はのんびり冷蔵庫に入れて翌日の出陣を待つ。
当日、友人にベリーのデザートを持参したと言うと、とても喜んでくれたが、どうもクラフティを想像したらしい。もう知り合って30年は経つのに、うかつにも彼女が牛乳が苦手なことを知らなかった。
生クリームなら問題ないのに、牛乳がダメとは、なんて気まぐれなシェフ泣かせの御仁か。
ベリーがたっぷり入っているし、せっかくだから味見してみるとは言ってくれたものの、次回は確認せねば。せめても、彼女の友人のお口に合うといいのだが。
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