森の中を歩いていると、突然頭上からざわざわと賑やかな葉音が聞こえて来た。
見上げると鬱蒼と薄暗くて、空も見えないが、雨が降ってきたことが感じられる。
雨は一粒だって落ちてこないことに気が付き、おかしくなってしまう。
そして、突然、雨の音の真理にたどりつく。
雨の音とは、雨が降る音ではなく、雨が降って、ある対象物にぶつかった時の音。
激しい雨も、決して雨が降ってくる時の音ではなく、窓や土をたたきつける時の音。傘をたたく音かもしれないし、屋根をたたく音かもしれない。
森の中の雨の音は、たくさんの木々の葉や枝が受け取り、楽しそうに、軽快に響く。
地面は一向に濡れない。
それでも、森の出口まで出てきてしまった。外は白い雨。なんだか嬉しくなって、飛び出してしまう。
髪の毛に落ちてくる音。肩をたたく音。私という存在が作り出す雨の音を聞きながら、思わず微笑んでしまう。
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