一晩中冷やされた空気が未だ動かずに固まっている、
人通りもまばらな、ほの暗い朝のパリを急ぐ。
予定よりも随分早いが、
住所を確認し建物に入ると、
ふくよかな深緑の香りに迎えられる。
近代的な建物の入り口は3階分程の吹き抜けで、
巨大な闇の空間にひっそりとモミの木がそびえている。
赤、青、黄、金、銀、様々な色のオーナメントボールがたわわに飾られ、
その周りを抑えた光が星のように瞬いている。
ふと目をやると、
ガラス張りのホールの向こう側に、
その有様がくっきりと映し出されている。
間近で仰いだ印象と、
ガラスに反映した様子を眺めた印象が、
全く異なることを
ゆっくりと時間をかけて味わう。
音のない世界。
北欧の森林の空気を胸いっぱいに吸い込みながら、
ひそやかに瞬き、
しのびやかに聳えるモミの木をガラス向こうに眺め、
その下にひっそりと佇む人影に一瞬戸惑い、
我が身であることに気がつき、
忍び笑い。
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