太陽にきらめくメット二つ。
なだらかな海岸線を走りながら、
潮風を体一杯に感じつつ、
こうして、銀輪の連なりを前にし、長距離を走ることが初めてであることに思い至る。
往復34kmの自転車専用道。
時にげんこつ程の木の実がたくさん落ちていて、
その上を走る度に、車輪があらぬ方向を向いてしまったり、
あやうく落ちそうになることもあり、
時に大きな木の橋があって、
その上を走れば、木琴の様にカラン、カラン、コロン、コロンと
小気味良い音がし、
時にアベックが黙って海を見つめていたり、
長い棒切れを担いだおじさんが、のんびりとチャリをこいでいたりするけれど、
とにかく、海岸線を走る道。
息子バッタとスプリント。
負けてたまるか、と、チビチャリを猛烈にこぎ、追い抜き、引き離し、勝ち抜き!と満足感に浸っていると、
左からターボエンジンを駆けたママチャリに追い越される。
まさか。
追い抜くには距離が足りず、
砂丘にぶつかる。
完熟トマトの末娘バッタが、これまた極小チャリで追いつく。
二人の爽やかな笑顔を携帯カメラに収めると、
早速、帰途に。
真っ赤に染まった海を左に、
茜色に萌える空を黙々と走る。
夕陽なんぞを楽しんでいる場合ではなかろう。
まさか、まさか、そのまさか、で、
暫くすると周りが夕闇に包まれ始める。
末娘バッタが背中が痛い、もうこれ以上は無理と、呻き始める。
とにかく、走ろう。
さあ、こぎ続けよう。
脚の動きを弛めるな。
ブレーキは掛けるな。
スピードを落とすな。
泣き言は言うな。
そうして、
とにかく、走ろう。こぎ続けよう。
漸く、村の灯りが見え始める。
いつもは避ける自動車のライトが嬉しい。
美しい夕陽だったね。
ねえ、また明日、行こうか?
今度は、長女バッタも誘って。
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皆様からのコメント楽しみにしています。
自転車、っていいですね。こいで、こいで、こいで、こいで。私も大きな夕陽を見たような錯覚に陥りました。
返信削除クッカバラさん、元気だな~~~。
あかうなさん
返信削除いつか学生時代の自転車の思い出を書きたいな、と思っています。いつか。。。