ちょっとした息抜きにお茶でもとお湯を沸かしながら、いつものようにぼんやりと庭を眺めていると、庭の左端を尖った耳をした二つの丸い顔がさっと通っていく姿が目に入った。猫にしては大きいが、犬にしては俊敏過ぎて何か違和感がある。庭の奥の胡桃の木の下にいる様子だが、ここからでは掘っ立て小屋が邪魔をして良く見えない。
茶色い毛皮からして、やはり猫なのだろうか。先日も見慣れない三毛猫が我が家の庭に遊びにきていたが、ノエルの贈り物として新たにご近所に加わった新顔が随分いるのかもしれない。
ヴェルヴェーヌの葉をたっぷりと入れたティーカップにお湯を注ぎながら、改めて庭の奥を見つめてみると、どうやら二匹は胡桃の木の下から太陽が燦々とあたっている桑の木の下に移動した模様。喧嘩をしているのか、じゃれ合っているのか、分かりにくいが、二匹は時々フリーズしたり、牙を剥きだして威嚇し合いながら、黒味がかった立派な尻尾を上に掲げたり、丸くしたりして、いつまでもぐるぐると同じ場所を走り回っている。時々、二匹は体を離し、まるで犬の様に座り、こちらをしっかりと見据えたかと思うと、猫の様に身繕いをする。久しぶりの太陽を楽しんでいるかのよう。
まっすぐとこちらを見る顔で、疑惑が確信に変わった。
しかし、一体君たちはどこからやってきたのだろう。森だとしても、あの交通量の激しい道路を横切り、我が家の玄関の隙間を堂々と入り、庭で我が物顔で戯れているとは。この庭には鶏がいるでもなし、犬や猫の餌があるでもなし。ひっきりなしに色々な鳥が遊びに来てはいるが、一体何が彼らを呼び寄せたのだろうか。
気が付くと、さくらんぼの木とレインクロードの木にカラスやピーがとまっていて、にぎやかに彼らの様子を眺めている。これでは、まるで、私がカラスやピーの仲間みたいではないか。
狐たちの日向ぼっこ遊びは未だ続くようだったが、流石にカラスたちと一緒にぼんやりと眺めているわけにもいかない。ヴェルヴェーヌも丁度美味しく香り立ってきている。カップを持って、その場を辞す。
また気が向いたら、いつでも遊びにおいでよ。ただ、道路を横切る時は、車に注意するんだよ。それから、近所の猫君たちにいたずらをしないでおくれよ。
ピーの鳴き声が一層姦しくなる。春はもうそこまで来ているのだろうか。
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