もう夏は過ぎてしまったかのように、吐く息が白い朝を迎える日が続くと、庭のミラベルやクエッチが気になりだす。せっかく今年は豊作となりそうで、枝にたわわにぷっくらとした青い実がなっていたのだが、夜中じゅう降りしきる雨や、激しい風で熟さぬ前に地面に落ちてしまいそうで、気が気ではない。
それでも良く思い起こしてみれば、パリの夏はいつもこんな感じではぐらかされてしまうのはなかったか。フランスに留学した最初の夏こそ、暑い日が続いたものだったが、あれは例外的な猛暑で、普通の家庭には冷房設備はなく、今でこそ普通車に冷房機能が備わっていることは当たり前になったが、当時は車に冷房機能などなかったし、必要でもなかった。
先日のことだが、朝の散歩の途中で、大層けたたましく鳴きながら飛んで行く鳥の群れに、トンカと一緒にあっけにとられて空を見上げたことがあった。鳴き声と、体長や色合いから、恐らく灰色ガンと思われる。確か「ニルスの不思議な旅」でニルスが乗って旅をしたのではなかったか。彼らが向かっている方向には、大きな沼地があったと思ったが、ひょっとしたらモネの生家のあるジヴェルニーあたりまで飛んで行くのではないかしら、と思った。
そうこうしていると、他にも、どんどんと別の鳥の群れが、やはり灰色ガンの群れが飛んで行った方向を目指して、一直線に飛んで行っている。一体何があるというのか。あちらは、日が沈む方向、つまり西である。西に、西に行けば、そこはもうブルターニュ。
おおい。鳥たちよ。ブルターニュの海にある小さな島にちょっと立ち寄ってくれないかい。そして、潮風に吹かれながら青い空を見つめているだろうパピーに、こんにちは、って挨拶をしてくれないかい。お元気ですかって、聞いてくれはしまいかい。今年の夏は、バッタ達がそれぞれに忙しくて、遊びに行くことは叶いませんが、きっと時間を作って皆で会いに行きますって、伝えてくれはしまいかい。
西へ、西へ。
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