自分の家の庭で亀を飼っているという友人が、亀が冬眠から目覚めて地上に這い出してきたので、農耕の準備を開始する時期だと言う。そんなものなのかと感心していたが、確かに枯草の荒涼とした土地だと思っていた場所が次々に掘り起こされ、柔らかくしっとりとして黒々とした土に覆われた農地が次々に出現している。
トンカとの散歩ルートの一つに、そんな大きな農場の近くを通るものがある。大抵、農場はきっちりと門が締まっているのだが、先日に限って、さあようこそとでも言わんばかりに、大きく門が開かれたままであった。もう夕方も遅く、既に農作業は終わったであろうから、恐らくトラクターの出入りなどで門を閉め忘れたのだろう。
こんなチャンスを逃すトンカではない。嬉々として猛スピードで農場に入り込んでしまった。あ~あ。追いかけて行ったら逆効果なことは、流石に今では良く分かっている。口笛を吹こうが、名前を呼ぼうが、大騒ぎをしようが、暫くは帰ってこない。
やれやれ。
願わくば、農場の人が突然帰って来て、トンカを大剣幕で怒り散らし、追い出そうとなどしないことだが、もしかしたら、むしろ誰かが来てくれて、その勢いでトンカが我に返り、慌ててすたこらさっさと農場から出てくることの方が良いのかもしれない。
とにかく、雨も降っていないし、冷たい風も吹き荒れていないので、ここは待つしかあるまい。私の姿が見えなくなったら、流石のトンカも慌てるのではないかと、大きな樫の木の後ろに回ってみた。
どんなに時間がかかっても、トンカはいつかは戻ってくる。今までがそうであったのだから、今回もそうに違いまい。そう信じるしかない。樫の木に隠れる格好で、農場を覗いてトンカの行方を追ってみると、何のことはない、入り口からそう遠くないところで、何かの匂いを懸命に嗅いでいる。そうして、やおら横になると、身体を押し付けるようにてゴロゴロしている。やばい。これは、自分の体臭消し、或いは大好きな匂い付けの行為。ということは、トンカは農場の香ばしい匂いを身に纏っているということなのだろう。それが何なのか、あまり知りたくはなかった。
トンカが場所を移動して、こちらを窺う様子だったので、さあ、と言わんばかりに勿論トンカの方には一切目も向けずに、農場の門の前を思い切りよく駆け抜け、その脇の広場に向かって走って、大木の根っこで立ち止まった。と、後ろを振り向いたら、トンカの笑顔。作戦、大成功。
ところが、翌朝、吐瀉物を発見し、夜中にトンカが吐いてしまっていたことが判明した。水入れにいつもたっぷりとある水は一滴も残っていなかった。慌てて水を入れてあげると、がぶがぶと飲んで、すぐに飲み干してしまった。慌てて改めてたっぷり水を入れてあげると、これもまた即座に飲み干してしまった。
吐瀉物といっても、水気が多く、色からして、マダニを取るために特別にあげた胡麻ペーストのようにも思えた。うーむ。
ふと思う。農場には危険がわんさかある、と。鋭い刃のついた農機具は勿論、化学肥料、農薬、小動物駆除のための毒団子。単純に馬や牛の糞でも食べていたのかと思っていたが、本当のところは分からない。
トンカには絶食を課すことにし、既にたくさんの水を飲んではいるが、もっと飲んでもらい、もしも摂取したのであるなら、毒素を排出させねばなるまいと思った。こんなに水を一度に摂取したことはないので、恐らく身体が欲しているのだろう。自然治癒力に頼るのが一番か。
トントン、農場の前を通る散歩ルートは、暫くはお預けにしようね。
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皆さんからのコメント楽しみにしています
こんにちは
返信削除トンカちゃんの面白い寝相、犬もあんな風に寝るのかと(笑
手足が長いからなぁ
トンカちゃん嘔吐したのならゴマアレルギーでしょうか。
調べると体質に合わなかったのかなと思いました。
ところで、フランスでゴマを買うときはどこの産地国なのかと思いました。
例えば、日本では苺ですが、農薬がすごい食べ物として上位です。輸出された苺が基準値をはるかに越え返品されていたニュースをついこの前読みました。
苺は巷では大人気ですが、私は食べません(笑 高級な苺も人から戴いても、苺に抵抗感ない喜んでくれる人にあげます。
林檎ケーキダイナミックでした。
冬場はズボンの下にもスパッツをはくので身体が太めにみられますが、最近少しずつ春めいてきて痩せた?と言われる気温になってきました(笑
クッカバラさんのブログをみてから料理教室に少しだけ通うことにしました。料理は下手な方ではありませんが、食の見直しです。
クッカバラさんのようなお姉さんが近くいたら山菜とりに行きたいです。
匿名さん、こんにちは!
返信削除胡麻の生産地ですが、黒ゴマはボリビア産、白ゴマはEU圏外、与えた黒ゴマペーストはフランス国内製造(原料のゴマの産地は無記入)でした。ゴマアレルギー、確かにありますよね。トンカは本当に何でも口にするので、気を付けてあげないと、と思っています。余計なものは与えないに限るのでしょうか。
ご存じかもしれませんが、EUは日本に比べ農薬や肥料に関する基準が非常に厳しく、例えば日本製の鰹節や日本の玉露などは輸入禁止なのです。お茶は虫が付きやすいので、農薬をふんだんに使うことで知られていますが、その農薬にやられて倒れてしまったお茶農園の方が、一念発起し、鹿児島で無農薬のお茶の生産を手掛けています。そのお茶は、とっても爽やかな飲み心地です。農薬の怖さを身をもって体験したその方のお話を聞く機会がありましたが、納得することばかりでした。その方は無農薬の米作りも手掛けていて、田んぼにはメダカが元気に泳いでいました。
山菜採り、いいですね。今頃実家では、蕗の薹や土筆が採れる時期かしら。本当に、お近くでしたら、お誘いしましたのに!
こんにちは
返信削除フランスに近い国に住んでいたことがありまが、ゴマの産地をみたことがありませんでした。私のふとした質問返しありがとうございました。
確かに、ご存知かもしれませんがのところ、若い頃から知っています。いろいろあります。いろいろ深掘りした内容を書けますが、私の話しは長いですよ(笑
また違う角度から例えば、私は2008年頃からノートルダム火災も予期していました。
火災放送があったときは、まだ薄暗い時間にテレビをつけて知り、それらがどのような方向をたどり消火されるのか点がありました
。実際は不思議な話しのようでそうではありません。本当のフランスの歴史を知ればみえます。
信じてもらえないでしょうが、本心です。
鰹節、数年前だと思いながら、鰹節がフランス料理❔に使われるニュースを聞いたことがあります。まだ一般的ではなく料理人の間での様子だったかなと思ってます。
日本、東京ですが、一昔前はお茶畑がたくさんありました。賢い先人達は何かをよく知っていたのでしょう。
暖かくなったと、また繰り返し一節書きながら、
クッカバラさん、まずはお味噌話待っています。品質の良い大豆のお味噌ですよ。
追伸でこんにちは。
返信削除今回のこととは違いますが、ふと思ったので書き足しです。
クッカバラさんなら真菰をご存知だと思い、イネ科にアレルギーがなければ、アレルギー改善にも良いです。人間にも犬にも。
匿名さん、こんにちは。
返信削除真菰ですか。うーん、フランスでは見たことがないです。アジア地域で生育するようなので、欧州では未だ一般に食されないのかもしれません。が、私が知らないだけなのかもしれません。真菰について改めて調べましたが、なんとハナカツミとも呼ばれるのでね。田舎では菖蒲をミニチュアにしたような、可憐な野花のことです。
こんにちは
返信削除真菰は縄文時代食していたようです。それから後に米文化になったのではないかと推察します。保存だろうと思います。
古事記や万葉集に真菰が記されていることは聞いていますが、読み物として個人的には正確さが曖昧ものは興味がないので確認できません。ハナカツミ、。。水辺。。葉が似ているからか。科が違うので。しっくりしない呼び名です。調べてみます(笑
真菰、粉末もあります。栄養、臓器系に良い。解毒作用もあるようです。アレルギーに良いのはそういったことだと思います。
生の真菰は旬でしか味わえないのでフランスでは無理ですが、かなり美味です!機会があったら迷わず食べてみてください。クッカバラさん結構好きだと思います(笑
トンカちゃんとクッカバラさんの中間をとって長さ調整できるリードで散歩された方が疲れなさそう。特に安全面で。私も噛みつかない犬はリードしないで放したい派ですが、予防線があった方が良いと思います。何かあったら悲しい
可憐な野花を愛でるトンカちゃんのブログでの写真がコメント書きながら浮かんでます。
可愛くて私の一番のお気に入り写真です。
匿名さん、
返信削除こんにちは。
トンカの野花を愛でる写真が好きとのこと、ありがとうございます。漸くお庭に野花が咲いてきたので、トンカをモデルに撮影大会をしたのですが、これが難しくて。のんびり花を楽しむなんて風流なことをするよりも、飛び跳ねる方が好きなので、トンカの動きの一瞬を捉えようと必死です。カメラ小僧、張り切ってはいるのですが、今のところ全敗。うまくいったら、記事アップしますね💞