満天の星空の時もあるし、嵐のような時もある。真っ暗闇のこともあれば、月明かりが心強いこともある。どんな時にも、夜は寝る前に庭を一周する。
雨が降っている時など、土の香りにむせる程なのに、トンカは嬉しそうに真っ黒な鼻づらを土の中にこすり付ける。止せばいいのに、泥水の中で大きく伸びをしたかと思うと、ぺしゃりと腹ばいになってしまう。冷たい土の感触を楽しむかのように。
こちらは、滑らないように気を付けながら、暗闇の中で見失わないように目を凝らしてついていく。トンカにとっては、ナニをする非常に神聖な時間なのだから、できるだけ邪魔をしないようにする。
段々暗闇にも目が慣れてきた頃、目の前の大きな塊に気が付き、さて、夕方にはこんなものはあっただろうかと訝し気に思う。そして、それが大きなハリネズミであることに気が付き、仰天してしまう。ハリネズミ君にしても、驚いたであろう。まさか、こんな時間に散歩をする人に出くわすなんて、思いもしなかっただろうから。
トンカと言えば、気が付いたのか、気が付かなかったのか。さっさと一人でラベンダーの株の下に跳んで行き、ラベンダーの香りを無心にかいでいる。臭覚は鋭いはずだし、だからこそラベンダーの株にいるのだろうから、ハリネズミに気が付かなかったはずはあるまい。変な出会いにならずに良かったと胸を撫で下ろしつつ、そっと静かに見守っていると、あっという間にハリネズミ君は姿を消してしまった。
これからどんどん新しい出会いがトンカには待っているだろう。
おお!春にさくらんぼの実が熟してぽとんぽとんと落ちてくる頃、トンカが歓喜極まり庭を駆け回ってさくらんぼの実を食べている様子が目に浮かんでしまう。はてさて、困ったものだが、まあ、その時になって考えようか。
さあ、トンちゃん、お家に帰ろう。そして、お休みしようね。
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