吐く息が白く、未だ太陽が出ていない早朝の草原は柔らかい香りに満ちている。頭上には満天の星空。南の空には童話に出てきそうな大きな下弦の月。
辺りが明るくなると、あっと言う間に神秘的な空間は消えてしまう。代わりに大地からは春の香りが立ち上がり、野生の小さな水仙が黄色い蕾を開き始める。土の中に埋められた胡桃を上手に探り当て、掘り出しては、がりがりと噛むトンカ。野草を噛んだり、根っこを掘り出し齧ったりと、いたずら盛り。それでも野草の花たちには、鼻づらを突っ込んで香りを楽しむだけで、今のところ乱暴はしていない。
朝は鳥たちがにぎやかで、飛び交う様を不思議そうに眺めている。
蝶々が舞うようになったら、きっと喜んで走りまわるのだろうな、と頬が緩む。
一週間ぶりに会う息子バッタが、トンカが一回り大きくなったと驚いていた。もう少し暖かくなったら、森に行こう。トンカの世界は今のところ我が家の庭だけになっているが、大きな世界を見せてあげなければ。
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