これまで私が自宅を不在にする日には長女バッタと息子バッタがトンカを見てくれていた。週に2回程度なので、それぞれ1日ずつ。ところが、永久に続くことは本当に世の中にはなく、息子バッタの企業研修に伴い、そのルーティーンが壊れることになってしまった。
企業研修といっても研究室での研究、しかもコンピューターを使っての比較的独立した研究。なんとか1日ぐらいひねり出してくれないものかと思ったが、それは素人考えだったらしい。しかも、息子バッタは非常に真面目なところがあり、バッタ3匹の中でも一番時間に正確。自宅で仕事をすると、どうも気が緩んでしまうし、研究職で横との繋がりが特に求められていない職種だからこそ、実際に研究室に赴き、皆と会話し、ランチをとることで得るものが大きいと力説されてしまった。
かたや同じく研究職の長女バッタ。彼女の場合は大学での講義があったり、彼女自身が講義することもあったりする。従い、毎日研究室に行くことができないからこそ、行ける時には行きたいと言われてしまう。が、そこは融通の利く柔軟性を持ち合わせていて、週一だけはトンカを見てくれると保証してくれた。
トントンを一人でお留守番させることを視野に入れねばならなくなってしまう。未だ一日三食のリズムだし、植木鉢は取り払ったとはいえ、サロンにはピアノ、楽譜、書籍、バッタ達のファイル、グラスの入った戸棚、などなど、いたずらしようと思えば、遊べるものが沢山ある。これを全部とっぱらって、無味乾燥な部屋にするなんて考えられないし、この雑なようなサロンにこそ調和があり、癒しがあるのではないか。
さてさて、どうしたものか。
毎週末一緒に森の散策に行く、犬の師匠と仰ぐ友人にお伺いを立ててみる。彼女は大型のプードルと小型のポメラニアンを飼っている。トンカと彼らが遊ぶ姿は、本当に楽しそうでこちらまで嬉しくなってしまうのだが、さすがに3匹を面倒見るのは大変な労力だろう。分かっていながら、お願いをしてしまった。
師匠は、プードル君が12歳の老犬なので、1歳にならないポメラニアンとトンカがふざけ合ってうるさくて、彼が静かに過ごせないのであれば、ちょっと考えなければならないが、基本的に喜んで預かりましょう、と、笑顔で返事をしてくれた。
師匠のもとで、トンカも学ぶことは大いにあるし、こんなに嬉しいことはない。感謝をしてもしつくしきれない。トンカよ、悪ふざけし過ぎないでね。
さて、当日。そっと朝家を出る。早起きのトンカは朝ひと仕事を終え、朝食で腹を満たすと、また寝入る習慣がある。私が家にいる時は、パールマンのパガニーニ、メニューインのバッハ、アンソフィームターのモーツアルト、グレングールドのバッハなどを聞きながら。
師匠がその後、ご子息を学校に送りがてら、ちょいと我が家に寄ってくれて、トンカを連れて行ってくれる手はずとなった。そして、一日預かってくれ、ご子息を迎えに学校に来がてら、またポンとトンカを我が家にドロップしてくれる。
朝からそわそわして、それでなくても大変だろう師匠に様子伺いのメッセージを送ることを控えるのがやっとだった。それがお昼ごろ、トンカ達が楽しそうに森で遊んでいる写真が送られてくる。しかも、動画付き。よく見ると柴犬が仲間入りしている。どうやらその柴犬君のママが動画を撮ってくれたらしい。ああ、トンカがちゃんと師匠の指導に従っているじゃないか!
嬉しくて、安心して、バッタ達にもその動画を送り、悩みを伝えていた近所の散歩仲間の友人にもついでに嬉しくて送ってしまう。「気分はすっかり我が子が幼稚園に入り立てのママじゃん」と友人が返信。
午後は出来るだけ急いで、予定よりも小半時間早く帰宅。我が家はひっそり閑としている。鍵を開けて入り、キッチンのドアを開けると、弾丸が飛び込んでくる。師匠が家にドロップしてくれてから、2時間程度。サロンに惨状は一切なく、お利口さんで、昼寝をしながら待っていてくれた様子。
友人ではないが、確かに、我が子の成長を嬉しく思う母親の気分。トントン、偉いよ!師匠にお礼の電話を入れなきゃ!
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