2022年9月11日日曜日

早朝の品評会

 





明け方に雨が降ったのだろうか。土は湿っていて、草木には水滴がついている。見上げれば青空が広がっていて、久々の良い天気になる予兆と思われた。早く行こうよ、とトンカに催促されて、恐らく未だベッドで寝ている人々の割合が多い時間に散歩に出る。


急にということでもないのだろうが、通りに出たところで周囲に靄が立ち込め始め、これでは森は一寸先も見えないという状態ではあるまいかと危ぶまれた。それでも、トンカは立ち止まるどころが、喜んで先を急ぐ。


霧で道に迷う程の森でもないし、そのうち晴れ上がるだろうと、トンカの後を追って森の中に歩みを入れる。そこは幻想的な世界が広がっていて、少し前まで猛暑で雨もない日々が続いていたお陰で、乾燥して干上がっていた森が久々にしっとりとしている。


森を抜けて草原に出ると、靄はすっかり晴れ上がっていたが、辺り一面が白くベールで覆われていて、朝日を浴びてきらめいていた。トンカが面白がって、鼻を突っ込み舐めては、顔をしかめている。


ちょっと待てよ。これは品評会ではないか。これ程の数の芸術家が、昨晩ひっそりと作品を仕上げたのか。草木の形態や、本人の技量によって、それぞれ個性的な作品に仕上がっている。細やかな水滴が、これまた驚くほど美しい効果を添えている。


そんな彼らの渾身の作を、そう容易くは撮らせないぞ、とばかりに、どんな角度で試してみても、焦点は合わないし、水滴の煌めきが映らない。招待状もないのに、突然お邪魔してしまった品評会。これから秋が深まるにつれ、いくつもの思わぬ品評会に出くわすのだろう。森の散策が一層楽しみになる。







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