2022年9月24日土曜日

ツキを戻す!

 





通常サイレントモードにしている携帯に、誰かから電話が入っていたことが表示されていた。仕事中ではあるものの、一応確認をせねばとチェックしてみると、相手は末娘バッタ。


どうしたのだろう。メッセージではなく電話。週末は学校の別のキャンパスに行くといっていたが、何か問題が生じたのだろうか。慌てて電話をしてみるが、案の定通じない。彼女も携帯をサイレントモードにしていることが多く、電話を掛けて一発でつながった試しがない程。まあ、大した問題ではないのかもしれない、と思っている時に、彼女の方から電話が掛かってくる。


「ママ、運転免許合格したよ!」


威勢の良い声が鳴り響く。おめでとう!「風邪を引いていて体調は最悪だったし、ずっと忙しかったから無理かと思っていたのだけど、満点だったんだよ!嬉しいっ!」


彼女にとって二度目の挑戦だった。運の悪いことに彼女が登録していた自動車学校が倒産し、他の学校にたらい回しされ、漸くしっかりとしたモニターと出会ったかと思いきや、末娘バッタ自身がコンクールなどで忙しくなり、そうこうしているうちに、今度はそのモニターが引退宣言をし、別の学校を探さねばならくなるなど、最初に学科試験に合格してから随分と時間が経ってしまっていた。


慌てて夏前に試験を受けさせてもらったが、今度は彼女の準備不足で、試験場に持参する資料を夜中まで探したり、大学の期末試験の日とバッティングし、アクロバティックな時間割で双方に特別に配慮してもらったりしたにも関わらず、焦りか、疲れか、試験官の意図するメッセージをつかみきれずに、試験途中で既にアウト。


試験の前には家族全員に連絡をしており、皆から応援メッセージをもらっていたが、残念な結果に。免許取得を目指してから随分と時間が経っていることもあり、本人もすっかりしょげてしまい、もう無理かもしれない、と弱音を吐き始めてしまっていた。


落ち込む彼女に、たかが運転免許じゃない、と諭したのは、この夏のこと。


たかが運転免許、されど運転免許。周囲の友達の多くが取得し、楽しそうに運転している様子に、自己嫌悪を抱いてもおかしくない環境ではある。


今回は、誰にも試験の日を告げず、大騒ぎをして結果を待つこともなく、自分なりにしっかりと試験に臨んだと思われる様子に、末娘バッタの成長をみた。大袈裟ながら「臥薪嘗胆」の精神を、会得したのではないかとさえ思ってしまう。


さあ、そうやってツキを戻し、あらゆることに果敢に挑戦していくのだよ。

おめでとう。



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