2022年9月5日月曜日

艶やかな黒毛のジュル






 


一直線で遠くまで見通せる道を散歩していた時のこと。シルエットから、随分先に犬がいることが分かり、さてどうしたものかなと思いながら、大きさや犬種を見極めようとしていたところ、どうも飼い主さんがこちらを気にしている様子が窺えた。


それならと、大幅にペースダウンし、のろのろとした歩みにしてみる。トンカはその分藪は茂みに鼻を突っ込んで遊べるので、一向に気にせず楽しんでいる。が、それでもいつの間にかお互いの間隔は狭まり、遂にトンカの知れることになり、例のカンガルー跳びをして、挨拶を始める。


こちらを気にしていたのだから、さっと別の小径に入るか、急げば良いのに、と思ったものの、挨拶をして近寄ってみるとラブラドールっぽい艶やかな黒色のオス犬と、なかなか感じの良い男性でにこやかに挨拶を返してくれた。一緒に遊びたがっているのですけどよろしいでしょうか、と言ってみると、勿論ですよ、ただ、ちょっと怖がりなんですけれど、と意外な返事が返って来た。


二匹は鼻をくっつけ合って挨拶をしていたが、トンカが得意の追い駆けっこを仕掛け始めた。が、相手は乗ってこない。ボール遊びをしていた様子で、男性がボールを遠くに投げ、トンカも一緒に二匹でボールの追いかけっこが始まった。


つぶらな瞳が可愛い犬だったので、声を掛けると怯えた様子で後ずさりされてしまう。「人見知りというよりも、人間が怖いんです。」と男性が説明してくれた。幼い時に随分と人間に虐げられ、いじめられていたという。特に帽子を被った男性は苦手で、恐怖心が抜けられない、と言うので、慌てて被っていた野球帽を脱いだ。


男性が保護して3年になるが、まだまだ過去のトラウマを引きずっていると言うではないか。トンカよりも体は1.5倍は大きく、しなやかな体躯が美しく、愛らしい瞳を持っている。それでも、近付くと矢張り後ずさりをされてしまう。ボールを投げてあげたり、持っていた煮干しをあげてみたが、そう簡単に心を許してくれる様子はなかった。


だからこちらの方を気にしながら散歩をしていたのか、と納得。いつでも何かあったら守ってあげることができるように、アンテナを張り巡らせ、周囲の様子をうかがっていたのだろう。


敵愾心も警戒心もまったくないトンカとの散歩が、いかに気楽で楽しいものなのかと改めて思われる。ジュル、と呼ばれていたようだが、正式名称はジュニア。飼い主の男性には心を開いていて、ボール遊びも、ちゃんとボールを追いかけて拾っては、飼い主にところまで持ってくる。その度に、ジュルは飼い主の男性からご褒美をもらっていた。


うーん、犬のトレーニングはまめじゃないと効果がなさそう。どんな時でも、どんなに時間がかかっても、最後はちゃんと戻ってくるトンカに正直なところ満足している。トンカは気まぐれなので、ボールを取りに行かないことがあっても、まあいいかな、と思ってしまう。しかしそれでは、いつまでたってもボールを取りに行くことはないだろう。が、まあいいじゃないか。


幅広の道を行くというジュル達と別れ、茂みの中にある小径にトンカと一緒に入り込む。ジュル、また一緒にボール遊びをしようね。



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