パリに引っ越した友人宅に夕食に招待される。トンカにとって、初めての夜の留守番。人生にはいつだって、ファーストタイムは付きもの。そうやって、経験を積んで大人になり、深みのある人生を送ることになる。
それでも、出来るだけ早く仕事を終え、大急ぎで散歩に連れ出し、かなり早めの夕食を与え、さっさと鎧戸を閉め、トンカの最近の散歩での戦利品の一つ、マナーの悪いキャンパーが捨てていったバーベキューの残りものの牛の骨を与え、静かに家を出た。
友人宅はパリの住宅街にあって、バッタ達が赤ちゃんの頃に過ごしたアパートの近くだった。余りの懐かしさに、立ち止まってしまう。何も変わっていないではないか。夕方の喧噪、気だるいパリの空気、空の色。
メトロの駅で待ち合わせていた昔からの友人が、気を遣ってくれ、言葉を掛けてくれた。私が過去を引きずっていることを良く知っているので、さりげなく、それでいてとても優しく大丈夫、と。
昔母が幼いバッタ達に会いに来てくれた時、仕事帰りの私をバッタ達を連れてメトロの駅近くのベンチで待っていてくれたことが鮮明に思い出された。幼いバッタ達が、そこにいるかのように思われた。
懐かしさだけで、そこには辛さも、悲しみも伴っていない。そう、だって、あの頃、本当に幸せだったのだから。そして、今も十分に幸せなのだから。
ありがとう。全然大丈夫!
そうにっこりと笑って、友人と歩き出す。いつでも優しく包み込んでくれる夕暮れ時のパリに。
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