森は今秋真っ盛りで、色とりどりのキノコ群はもちろん、どんぐり、毬栗が、ところによってはぎっしりと地面を覆っている。ばらばらと小気味よく頭上多角から落下してくるどんぐりの音は爽快で、思わずスキップをしたくなってしまう程。
マロニエは都会の木といえるのか。街路樹として使われていることが多いからだろう。森の中ではお目見えしないが、通りではマロニエの実がごろごろと落ちている。胡桃の木は、小川沿いの森の手前の日当たりのよい場所に散見する。
胡桃といえば、トンカが、友達のコリーのスパイク、ラブラドールのラムセスと遊んでいた時のこと。スパイクの飼い主が胡桃を拾っては袋に入れていた。それを見たラムセスの飼い主が、まさかスパイクが食べるわけじゃないわよね、と聞く。にっこりと笑って、スパイクも好きなんだよ、と返答。
彼らの会話は続く。
「へえ、スパイクって胡桃を食べるの?驚いたわ。」
「ちゃんと胡桃の殻を割ってあげるんだよ。喜んでいるよ。」
え?
彼らの会話に混ざろうかと思って、やめてしまった。スパイクはご主人様が割ってくれた胡桃の実を食べるのか、と、しみじみ思ってしまう。
トンカ、スパイク、ラムセス。三匹とも楽しそうに駆けまわている。そこにメスのラブラドールのトゥピーが仲間に入って来た。相変わらずキャンキャンと鳴いている。可愛い子なのだけど、なぜか遊んでいる時にけたたましく鳴く癖がある。
すると、のラムセスの飼い主がすかさず「やきもちを焼いているのよ。ほら、トンカがメスでしょう。他は皆オスだからね。」と発する。
見ていると、確かにオス連中は皆トンカの後を追って、はしゃいでいる。いや、それって、ただトンカがすばしっこいだけなのではないかしら。新入りのトンカに対して、やきもちってこと?いやあ、ないない。トゥピーはトンカと遊んでいる時も、しきりに鳴いている。トゥピーの癖で、いつかちゃんと原因を究明して治してあげた方がいいだろうと思われる。
しかし先入観とは恐いもの。胡桃だって、緑の実の時には放っておいて、しばらくして周りが黒くなってきたら、ごろごろとして黒い皮を剥いて、硬い殻の実になってから、かりりと割って美味しい実にありつくってこと、トンカは自然と知っている。
田舎の犬と都会の犬の違いということだろうか。トンカはちょっと野生過ぎるのかしら。基本的に、命に別状なければ好きにさせている。人間の子供ではないだけに、いや、私が犬ではないだけに、子犬のトンカの躾、教育は難しい。
私自身にもある沢山の先入観を取り払い、精神を研ぎ澄ませ、自然の声に耳を傾ける。かくありたいものかな。
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