「マダム、構いませんよ。金曜だからお疲れなんでしょう。」
え?開いた口が塞がらないとはこのこと。
「お疲れなのは、あなたじゃないの?」
不機嫌な私を捕まえて、なんたることを言うのか。心優しき若者よ、なんて感心するわけがない。あっけにとられたのは、相手の青年。。。
大体、あんた達がいけないのよ。さっさと決めずに、えっとーなんてやっているから。ママはいつだってカフェラテに決まっているわよ。しかもトール。
「うん。私もショコラショ。」
すかさず末娘バッタが呼応する。
決まりの悪そうな顔をしているのは長女バッタ。きっと以前友達とスタバに入ったことがあるのだろう。知識を息子バッタに披露しようと、『フラプチーノ』について講釈し始めたのが運のつき。息子バッタはバニラフラプチーノと決めたが、自分が悩み始め、ママの手前、カフェインありは遠慮しようと、漸くフレーズ(イチゴ)にするも、サイズで悩み、、、。
オーダーをとる青年は、最初のカフェラテとショコラショから、フラプチーノのフレーズを得るまでに、随分の間が開いたことで、手順がおかしくなったのであろう。
しかも、レジを打つ青年がまた別にいるといった、ややこしさ。そして、更に、ドリンクを作る青年が別に控えている。
結局お金を払って、ドリンクを待っていたら、カフェラテの分のお金が払ってないと言われてしまう。レシートを確認しなかった私がいけない、と、取り敢えずはレジの青年のところにまで戻って、改めてカフェラテの料金を払う。
そうして、三つのカップが揃ったところで、バッタ達に先にテーブルを確保し、飲んでて頂戴、と告げる。ママはカフェラテを待つから、と。
ところが、ドリンクを作る青年が、カフェラテはもうさっき渡した、と告げる。
あれ?じゃあ、さっき末娘バッタに渡したカップはショコラショ(熱いココア)ではないのか?ショコラはどこに消えたのかしら?
ショコラショの分の料金が払っていない、と、新たに言われる。
え?
今度はちゃんとレシートを確認してみる。確かに!
そうして、3度目の正直よろしく、レジの青年のところで、ショコラショの分の代金を払おうとした時に、その青年が私を労わってか、先ほどの勘違いの発言をしたのである。
まあ、まあ。そう、苛立つ内容でもないか。
「ママ、味見する?」
長女バッタが誘う。せっかく熱いカフェラテなんだから、冷たいシェーキはいらないわよ。と、それこそ冷たく言い放つ。
金曜のランチ前。今日からバッタ達はパパと来週の水曜まで、ボルドーのパパの両親のところでバカンス。契約とはいえ、やるせない。当初、パリのカフェにバッタ達を置くといったアレンジを提案してきたので言下に却下。次には彼のパートナーにバッタ達を手渡すといった、全くナンセンスな提案があったので、呆れてしまう。そして、彼の勤務先で手渡すといった私の提案に落ち着く。
テーブルの下から末娘バッタの手が伸びる。
自分達で揃えた洋服とバカンス中に読む本や宿題が入った小さなブルーのスーツケースを末娘バッタが引いている。ちっとも手伝ってやらなかったことで、胸がチクリとする。
じゃあ、元気でね。いってらっしゃい。
バッタ達がルノーのエスパスに吸いこまれる。
心が暗黒の世界に吸いこまれ空洞化する。空洞のはずなのに、重みを伴っているかの様な奇妙な感覚を抱いてセーヌを走り、オフィスに戻る。
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そっか。バッタちゃんたちお出掛けなのだ。。。クッカバラさん、お仕事コンを詰めすぎませんように。
返信削除あかうなさん
返信削除いつも優しいお言葉ありがとうございます。