「ママ、これなあに?」
長女バッタに見つかってしまう。
「あ、どうしたの?ねえ。」
えっと、、、。しどろもどろになっている内にも、
テキパキと包みを開けてしまう。
バッタ達は、私の習性を熟知している。
頂き物を後生大事にするタイプ。
そして、頂き物が素敵であればある程、
他の方とも分かち合いたい、と思ってしまい、
それが高じて、
遂には、他の方に譲ってしまうことが多いということ。
だから、最近は頂き物と分かると、
さっさと封や、包み、箱を開けてしまうバッタ達。
さもないと、気がついたら、我が家から忽然となくなっていることが多いから。
「わあ。高級チョコレート!ほら、みんな、チョコだよ。」
長女バッタの声に、嬉しそうに、息子バッタも末娘バッタも集まってくる。
「あ、駄目、駄目、駄目よ。」
漸く声が出る。
「ほら、今度、お呼ばれしているでしょ。その時に、皆で食べようかと思って。こんなオシャレなチョコ、普通に食べちゃったら、もったいないでしょ。」
その言葉に、仕方なく、それでも、中味を確認できた満足さで、長女バッタが、丁寧に蓋をし、箱にリボンを掛け直す。
そんなことがあって、一週間が経とうか。
末娘バッタが、私がバイオリン関係でお手伝いをしている書類を、
アルファベット順に並べ替えてくれる。
そこで、お礼に、お小遣い、と思ったら、
末娘バッタはチョコレートが欲しいと言ってきたので、
スーパーでネスレのデザート用板チョコを買ってくる。
その一部始終を聞いていた長女バッタが、
その夜、夕食のシチューを作っている時に、
ほら、ママからのお礼よ、と末娘バッタに何かをあげている声が背後でする。
「ね、ママ、いいんだよね。」
と、長女バッタ。
勿論よ、と言いつつ振り替えると、例のチョコレートの箱を取り出して、
皆で眺めている。
そうだよね。
皆で一粒つつ、食べようか。
美味しいコーヒーでも淹れて、なんて思っていたら、いつになっても食べられないし、
特別な時に、なんて思っていたら、これまたいつまでたっても食べられまい。
解禁令が出るやいなや、
さっと列の3個が消えてなくなる。
そして、遅ればせながら、私も一つとってみる。
控え目な甘さがしっとりと
豊かな香りをともなって、口の中に広がる。
嬉しそうなきらきらの6つの瞳に囲まれて、
この一瞬が特別な時となる。
ありがとう。
贈り主の顔をそっと思い浮かべ呟く。
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