2022年7月19日火曜日

灼熱の太陽

 





フランスに来て、もう何年になるだろう。こんなに茹だるような暑さが続くことは本当に珍しい。しかも、気温が40℃を超すともなれば、かつて経験していない程の暑さである。扇風機はおろか、冷房など完備していない家屋がほとんどで、公共交通機関に至っては、冷房車が稀である。バスなどサウナ化していて、あまりに酷い暑さになると、どうやら運転手が自主規制をしているようで、運行していないことがある。


サハラ砂漠に吹き付ける熱風が大陸に上がってきている、などと言う人もいるが、実際のところどうなのだろう。


日中どんなに暑くても、乾燥しているので朝夕は涼しくなる、などと思っていたが、ここ数字は日が暮れても38℃平気で維持している。本当にどうしてしまったのだろう。熱風が吹いているのだから驚いてしまう。


それでも、トンカは散歩をしたがる。庭にいることと、散歩に出ることは似ていて非なるものらしい。熱い鼻面を膝に載せられると、どうにも参ってしまう。そこまでおねだりされたのでは、リクエストに応じないわけにはいかない。意を決し、水をボトルに入れて、外に繰り出す。


不思議なもので36℃が結構涼しいなんて思えてしまう。それでも暫く歩けば、じっとりと汗がにじみ出てくる。トンカは嬉しそうに乾燥しきっている藪や叢に鼻を突っ込んで、いつもよりもやや遅い足取りで散歩を楽しむ。


ただ、いつもの二倍の長さの舌をだらりと出して、ハカハカしているのだから、可哀想になってしまう。そこで、漸く20度台に下がる早朝に、散歩に連れて行ってやることにする。さすがに仕事があるので、森の中には入らずに、森の入り口を通り過ぎて草原を突っ切り、農地のそばを通って、羊の放し飼いの脇を歩き、戻ってくるコースにする。


早起きは三文の徳とはよく言ったもので、草原では、トンカと鹿のちょっとしたレースを見物することができた。トンカはチーターの様に優雅に駆けると思っていたが、鹿の華麗なジャンプを見せつけられると、まだまだ修行が足りないぞ、と思ってしまった。


深追いせず、ちゃんと適当なところで切り上げて戻ってくるところが、トンカの良さ。戻ってくると信頼しているから、リードは森の中でも滅多につけずに自由にしていることを、ちゃんと理解しているように思えてしまう。


爽やかに感じた早朝散歩も、しまいには汗ばみ始め、太陽の光がぎらぎらと眩しくなってきて、日中40度に達するとの天気予報も、あながち嘘ではあるまいと思えてくる。今度はいつ、鹿とトンカのレースを楽しめるだろうか。トンカ、楽しみにしているよ。知ってか知らずか、長い舌を出しながらこちらを振り向いてにんまりする。



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