夕刻からかなりの強風が吹き荒れ、雨戸もガタガタをすごい音を立てていた。夜中に目が覚めてしまい、天窓からの光が強いことから、ひょっとしたら月光が差し込んでいるのかと思って見上げると、あに諮らんや、怪しげに鈍く光る夜空。
やはり午後の一件が心に引っかかるのか、目がかっきりと覚めてしまう。夜中に起きて携帯を見始める悪い癖は止めようと、あれほど思っていたのに、あっさりと見始めてしまう。
と、ドアがぎぎぎぃと、鈍い音と立てて開くではないか。
もう!
分かりましたとばかりに、ベッドから飛び上がってドアをきっちりと閉め、ついでに携帯の電源もオフにして眠りにつく。
翌日、晴れ上がった森を散策する。
前日の嵐の爪痕と言えばよいのだろうか。未だ緑の葉も、茶色い葉も、枝も幹も、辺り一面足の踏み場もない程に散らばっていて、真っ赤な南天の実がばらばらと落ちている。
ところどころに細い木が倒れていて、ばきばきと音を立てて踏んでいかないことには進めない。この森の木々は、紅葉を楽しむ前に、風で葉が振り落とされてしまうのだろうか。随分と雨も降ったらしく、あちこちにぬかるみがあり、できるだけ迂回しても靴は泥んこになり、ズボンに泥が跳ね飛んでしまう。
こんな日には人っ子一人散歩などしていない。鳥たちでさえ、声も聞かせてくれない。
こうやって、雨が降る度に寒さが増し、嵐が来る度に森が冬に向かうのか。
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