郊外からパリ市内に向かう電車に揺られながら、いつもはヘッドフォンでニュース解説番組を聴いているのだが、時々ネットの調子が悪くて番組が停止してしまうことがある。そんな時は車窓を眺める。
まだ暗闇が支配している時に、広い庭と一戸建ての上品な家が立ち並ぶ閑静な住宅街を通ると、書斎や食卓が垣間見える時がある。特に外から見られることを気にしていないのだろうか。カーテンもブラインドも何もつけていないので、部屋の照明が明瞭にかつ効果的に、くっきりと中の様子を浮き出していて、瞬間とはいえ何だか覗き見をしているような落ち着かない気分になる。
そういえば、以前勤めていた会社は目の前がマンションで、時々窓から男性が裸にエプロンだけの姿でアイロンをかけていたり、のんびりと裸で寄り添うカップルがいたりと、何かと楽しませてくれたことを思い出した。
よく考えてみれば、我が家の近所のアパートや一軒家も多くがカーテンなどつけておらず、暖色系の照明が灯っていることが分かるではないか。シャッターや鎧戸を使う家もあるが、開けてしまえば中は丸見え。
ひょっとしたら日照時間に関係があるのかもしれない。せめて太陽が出ている数時間でも、日光の恩恵に授かりたい、そんな思いがあるのかもしれない。
これは恐らく文化的なことが背景にはあるのだろう。パリのアパートを借りている長女バッタは、真っ先にカーテンを買って取り付けたと言っていたが、これで窓からご近所さんと顔を合わさずに済むとしていたので、恐らく「ご近所さん」はカーテンをつけておらずに、丸見えなのだろう。
お向かいのマダムは、寒い冬でもキッチンの窓を全開にしていて、マダムがキッチンにいる時は手を振って挨拶をすることが多い。近々マダムの好きなシフォンケーキを焼いて、プライベート空間の定義とやらを肴におしゃべりに遊びに行こうかしら。
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